R.シュトラウス (1864 - 1949)

ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調(約19分)

 1942年に初演された、15作目にして最後の《歌劇「カプリッチョ」》をもって、リヒャルト・シュトラウスは、作曲家としての公的な活動にピリオドを打ち、それ以降の作品はすべて「手首の運動」と称した。が、もちろんこれはシュトラウス独自の韜晦(とうかい)である。むしろ、《カプリッチョ》によって、旋律の歌わせ方と動機(モチーフ)労作の手法を巧みに結びつける方法を獲得した作曲家は、最晩年の様式を編み出すに至る。
 《ホルン協奏曲第2番》の作曲にあたっては、60年前に当代きってのホルン奏者であった父フランツのために作曲した《第1番》を念頭に置いていたと考えて間違いあるまい。本作品は2つの部分から成るが、前半部分はアレグロの第1楽章、アンダンテ・コン・モートの第2楽章に分割できる(両者は切れ目なく演奏される)。変ホ長調の主和音をやさしく積み上げながら上昇するホルン独奏に導かれ、このモチーフを中心としつつも流れるような旋律が紡がれる。第2楽章の最後には《家庭交響曲》からの引用とおぼしき旋律の断片も聞こえてくる。
 明瞭なロンド形式を有する後半部分が第3楽章になるわけだが、この楽章が前の2つの楽章と切り離されているのは、軽快なモチーフの積み重ねによる音楽の構造が、明らかに前半部分とは異なるという理由によるものだろう。とくにこの楽章は、この後に作曲された《オーボエ協奏曲》《変容》に至るまで、晩年様式の基礎を形成している。

作曲年代:不明(《カプリッチョ》の作曲終了後か)~1942年11月28日
初演:1943年8月11日、ザルツブルク、ゴットフリート・フォン・フライベルクのホルン独奏、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(広瀬大介)