カバレフスキー

チェロ協奏曲 第2番 ハ短調 作品77(1964)(30分)

カバレフスキー(1904~1987)
 ドミートリ・カバレフスキーといえば、日本では彼の主著である『三頭のくじらとその友だち』等を通して音楽教育者としての業績が有名だが、作曲家としてのカバレフスキーは、ソ連時代の党派的な作曲家というイメージが災いしてか、ソ連崩壊後の評判は芳しくない。そうとはいえ、モスクワ音楽院での作曲の師ミャスコフスキーからはロシア的な叙情性を受けつぎ、そこに同時代のプロコフィエフやショスタコーヴィチ等の音楽語法を加味したカバレフスキーの作風は、「時代遅れの社会主義リアリズム」という偏見を離れてみれば、「20世紀のロシア音楽」として充分に傾聴に値する。
 《チェロ協奏曲第2番》は、若い演奏家向けに作曲された《第1番》(1949)とは打って変わって、全体にペシミスティックな雰囲気が支配的であり、《オペラ「コラ・ブルニョン」》や《バレエ「道化師」》の軽妙さとは違った、カバレフスキー晩年の音楽性を伝えてくれる。全体は3楽章からなるがアタッカで連結され、楽章間には2つのカデンツァが置かれている。しかも第1楽章の主要主題が第2楽章の中間部に循環するだけでなく、第3楽章では先立つ2つの楽章の主要主題がすべて再現されることで全曲が統一されている。本作品はソ連を代表するチェロ奏者ダニール・シャフランに献呈され、彼の独奏で初演された。

 第1楽章 モルト・ソステヌート─アレグロ・モルト・エ・エネルジコ─テンポ・プリモ、4/4拍子、ハ短調、3部形式─カデンツァ1。
 第2楽章 プレスト・マルカート、3/8拍子─2/4拍子、変イ短調、ロンド形式(エピソードに第1楽章主題が循環)─カデンツァ2。
 第3楽章 アンダンテ・コン・モート、4/4拍子、ハ長調、ロンド形式(各エピソードで第1楽章、第2楽章の主題を再現)。


作曲年代:1964年
初演:1965年1月15日、シャフランの独奏、作曲者の指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団

(千葉 潤)