ラヴェル (1875~1937)

バレエ音楽「ラ・ヴァルス」(約13分)

指揮:シャルル・デュトワ
管弦楽:NHK交響楽団

 

2016年12月16日収録

© NHK

 この作品は、モーリス・ラヴェルがバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼によって作曲したもので、「オーケストラのための舞踏詩」という副題をもつ。このほかに、ラヴェル自身によって作られたピアノ独奏版と2台ピアノ版がある。
 ラヴェルは、1906年の段階で「大ワルツ」を書こうと計画したことがあり、その後、「ウィーン」と題する交響詩にとりかかったものの、第一次世界大戦のために中断していた。ディアギレフから話があったのは、ラヴェルが戦争と母との死別によって心身共に消耗していた時期だったが、彼はこの依頼に創作意欲をかきたてられ、作曲に没頭した。
 ところが、完成した作品を聴いたディアギレフは、傑作だがバレエではない、と拒否したため、この作品は管弦楽曲として初演されることになった。ちなみに、バレエとしての初演はディアギレフの死後、パリ・オペラ座において1929年イダ・ルビンシテイン一座によって行われた。
 スコアには、以下の説明がある。「うずまく雲の切れ間から、ワルツを踊るカップルの姿がときおり垣間(かいま)見える。雲は少しずつ晴れてくる。スコア番号Aのところで、輪を描きながら踊る人々であふれかえる広間が見える。光景はますます明るくなってくる。シャンデリアの光はスコア番号Bのフォルティッシモのところで燦然(さんぜん)と輝く。1855年ごろの皇帝の宮廷」。
 ラヴェルはこの作品を「幻想的で破滅的な回転の印象」と交じり合った「ウィンナ・ワルツへの一種の賛歌」であると説明している。作品は序奏に続いて7つのワルツが奏され、8つめのワルツでそれらが再現し、展開されて終わる。曲は全体的にみると、大きなクレッシェンドのなかに組み込まれている。このクレッシェンドは頂点の前でいったん中断されるが、もう一度精力的に登りつめていき、突然断ち切られる。

作曲年代:1919~1920年
初演:1920年12月12日、パリ、カミーユ・シュヴィヤール指揮、ラムルー管弦楽団

(井上さつき)