ブルッフ (1838~1920)

ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26 (約24分)

 ドイツの作曲家ブルッフはヴァイオリン協奏曲を3曲、さらに交響曲や室内楽、合唱曲など数多くの作品を残したにもかかわらず、今日、演奏される機会が圧倒的に多いのは《ヴァイオリン協奏曲第1番》である。この曲の人気は彼の生前からのもので、作曲者自身、1887年には「たまには他の協奏曲を演奏してくれ」と嘆いているほどである。
 1865年からコブレンツ宮廷の音楽監督を務めていたブルッフが、1866年に作曲した《ヴァイオリン協奏曲第1番》は、4月24日オットー・フォン・ケーニヒスレーヴの独奏、作曲者自身の指揮によって初演された。しかしブルッフは満足せずに、当時の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムに助言を求め、2年後の1868年1月7日に改訂稿がヨアヒムの独奏、作曲者自身の指揮で初演され、以後、ヨーロッパ各地で演奏されるようになった。

 第1楽章(前奏曲:アレグロ・モデラート、ト短調、4/4拍子)は、協奏曲の第1楽章としては異例なことに「前奏曲」と題されている。冒頭のティンパニと木管に応えるように、独奏ヴァイオリンが語るようなメロディーを奏でる。主部に入り、力強い第1主題、そして叙情的な第2主題はいずれも独奏ヴァイオリンによって提示される。第1楽章から切れ目なく、歌うような第2楽章(アダージョ、変ホ長調、3/8拍子)に入る。第3楽章(終曲:アレグロ・エネルジコ、ト長調、2/2拍子)では独奏ヴァイオリンの輝かしい技巧が繰り広げられる。

作曲年代:第1稿1866年、改訂稿1867年
初演:第1稿の初演は1866年4月24日、コブレンツにて、作曲者自身の指揮、オットー・フォン・ケーニヒスレーヴの独奏による。改訂稿の初演は1868年1月7日、ブレーメンにて、作曲者自身の指揮、ヨーゼフ・ヨアヒムの独奏による

(西村 理)