ブラームス (1833 - 1897)

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 (約40分)

 ブラームスが《ヴァイオリン協奏曲》の構想をもつのは1878年8月で、同年8月21日付けのヨアヒム宛ての手紙のなかで「4楽章」の構想が述べられ、独奏声部の一部がヨアヒムに送付される。彼は《ピアノ協奏曲第2番》の作曲を中断して《ヴァイオリン協奏曲》の創作に専念し、同年の秋にアダージョ楽章とスケルツォ楽章を書き進める。4楽章構成の協奏曲の構想は変更され、スケルツォ楽章は破棄されたが、4楽章の協奏曲の構想は同時に進めていた《ピアノ協奏曲》で実現することになる。作品は同年の12月下旬には一応の完成を見、1879年元旦にブラームスの指揮で初演された。
 作曲の最初の段階からブラームスはヨアヒムにさまざまな指示を仰ぎ、スコアの完成後も独奏パートについて彼の添削を受けている。自筆譜のヴァイオリン独奏パートにはヨアヒムの筆跡で、赤インクで細かに添削が施されている。作品はヨアヒムに捧げられた。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ、ニ長調、3/4拍子。おおらかで牧歌風の主題がオーケストラによって提示され、その後独奏ヴァイオリンが分散和音を華麗に奏し、のびやかに主題を再提示する。なおブラームス自身はカデンツァを作曲しておらず、ヨアヒム他がこれを手掛けている。
第2楽章 アダージョ、ヘ長調、2/4拍子。オーボエが奏する物悲しい主題で開始し、独奏ヴァイオリンがその主題を受け継ぐ。3部形式で構成され、中間部はコロラトゥーラを思わせる独奏ヴァイオリンが美しい。
第3楽章 アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、2/4拍子。独奏ヴァイオリンがハンガリー舞曲を思わせるエネルギッシュな主題で開始する。この楽想はブルッフの《ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調》からの影響が指摘されている。

作曲年代:1878年8~12月
初演:1879年1月1日、ライプツィヒ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団第11回予約演奏会にて、作曲者自身の指揮、ヨーゼフ・ヨアヒムの独奏

(西原 稔)