NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

岡本 潤

岡本 潤

コントラバス

おかもと・じゅん

1988年石川県金沢市に生まれる。幼時よりピアノとヴァイオリンに親しみ、12歳のときにコントラバスを手にする。東京藝術大学を経て、2013年10月1日入団。コントラバスを松中久儀、今野淳、永島義男の各氏に師事。コントラバス・アンサンブル“Contrapazzo”のメンバーとしても活躍する。

 

周りの発する電波を感じ取りたい

華恵

N響に入団されて間もないですね。生活は変わりましたか。

 

岡本

毎月の定期公演などにようやく慣れてきて、少しは余裕を持って生活できるようになってきたと思います。

 

華恵

N響の中で演奏するのはいかがですか?

 

岡本

現場でいろいろと感じることが多いので、音楽的なものや技術面で盗めるところは盗んでいきたいと思っています。そういう学ぶことの多い現場なので本当にここにいられてよかったと感じています。

 

華恵

先輩方との交流はいかがですか?

 

岡本

いろいろなお話をしていただいています。まだ日も浅いので、コントラバスの先輩とお話しする機会が多いですね。

 

華恵

N響に入りたいと思ったのは何がきっかけなんですか?

 

岡本

中学校の卒業文集には「オーケストラ・アンサンブル金沢に入りたいです」と書いていました。それまで石川県から出たことがなかったので他のオーケストラを知らなかったのですが、「オーケストラに入りたい」という意志は芽生えていました。その後、東京に出て、大学生のときに初めてN響にエキストラで呼んでいただいて、尾高忠明さんの指揮でチャイコフスキー《第5番》を井戸田善之さんの隣で弾かせていただいたときに、ここに入りたいという強い思いが湧いてきました。それがきっかけです。自分の出したい音を探せるところ、自分がやりたい音楽ができるところだと思いました。

 

 

華恵

楽器との出会いについて教えてください。

 

岡本

母が以前にピアノを教えていたので、僕が小さい頃は年に1度クリスマスにホームパーティーを開いていたんです。僕が3歳くらいの頃に母が招いた知人のお姉さんがヴァイオリンを弾いてくださった。それがヴァイオリンとの初めての出会いです。そのヴァイオリンの音にすごく感動して、なんだかキラキラした輝いた音に聞こえて憧れて、4才からヴァイオリンを習い始めました。

 

華恵

お母様の影響が大きいんでしょうか。ピアノもお母様から手ほどきを?

 

岡本

母からピアノを教わったことはほとんどありません。ただ小さい頃、ヴァイオリンの家での練習には厳しかったですね。音程が悪い、リズムが悪いという注意はしょっちゅう。ネックのところに手首がついちゃダメだと、その部分に画鋲をセロハンテープで貼ったり。だからヴァイオリンの練習が嫌いになったのかもしれないですね。

 

華恵

音楽もお母様が勧めたのですか?

 

岡本

いや、誰からも音楽をやりなさいと言われたわけではなく、音楽は自分からやりたいと思ってはじめました。僕が最初に聴いた覚えのある曲はアース・ウインド&ファイアーの《ファンタジー》。この曲を聴きながら母親と一緒に踊ったりしたのが一番古い記憶で、音楽って楽しいな、と思い始めたのがここからですね。

 

華恵

コントラバスと出会うのはいつですか?

 

岡本

それから中学校までヴァイオリンを続けていたんですけれども、中学校の吹奏楽部の見学に行って、「ヴァイオリンありますか?」と聞いたら、「弦楽器はコントラバスしかないよ」と言われて。それで、ためしに弾いてみたら音が出せたので、それからこうなりました。

 

華恵

「これしかないよ」と言われた時はどういうお気持ちでしたか。

 

岡本

その時は、ヴァイオリンがないなら、トランペットかオーボエがやりたかったんですけど、体験入部の時に3つの楽器を巡っていくうちにやっぱりコントラバスが「ああ、いいな」と。

 

華恵

どんな風によかったのですか?

 

岡本

吹奏楽のバスというパートを実際にコントラバスで弾いて、何だかしっくりときたんです。自分の感情と。それまでやっていたヴァイオリンに対するおざなりな気持ちとはちがう。なぜかしっくりきて続けたいという気持ちが強くなって、中学校2年の時に楽器を買ってもらって地元のジュニアオーケストラに入って、先生について習い始めました。

 

華恵

なるほど。その後、演奏家になりたいと思うようになるのはいつ頃でしたか?

 

岡本

コントラバスを習い始めてすぐですね。その時に就いた先生がオーケストラのお話をしてくださって、自分も同じようになりたいと思い始めました。

 

華恵

これからどんな演奏家になりたいですか?

 

岡本

もっと自分の音楽を100パーセント出せるようになりたいです。もっと周りを見て、周りが発する電波のようなものをきちんと感じ取れる人間にもなりたいと思っています。

 

華恵

健康管理に運動はされていますか?

 

岡本

サイクリングをしています。夏限定ですが。上野に住んでいるので、上野からお台場までを1時間ぐらい走ったりしています。

 

華恵

上野界隈は坂道が多いですよね。

 

岡本

大学を卒業すると上野を離れるという人も多いですが、 公園や下町の風情のある上野が好きなので、離れたくないなと思ってるんです。

 

写真撮影 ― 藤本史昭

2013年11月取材 ※記事の内容およびプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

華恵

聞き手

華恵

はなえ

1991年アメリカ生まれ。6歳から日本に住む。2003年、12歳で『小学生日記』を刊行し、エッセイストとしてデビュー。NHK BSプレミアム「世界遺産~一万年の叙事詩~」でのナビゲーター、連載エッセイなど、幅広く活躍中。現在、東京藝術大学音楽学部楽理科に在学中。