NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

大宮 臨太郎

大宮 臨太郎

ヴァイオリン

おおみや・りんたろう

神奈川県出身。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)、桐朋学園大学を経て2005年6月1日N響入団。第69回日本音楽コンクール第3位、2001年仙台国際音楽コンクール第5位(併せて聴衆賞)、2002年メニューイン国際ヴァイオリン・コンクール(仏)第2位等受賞多数。

 

髙橋

ヴァイオリンを始められたきっかけは?

 

大宮

両親に連れられてコンサートに行き、「ヴァイオリンやりたい」と言ったらしいです。それが5歳か6歳ぐらい。やり始めたら母はめちゃめちゃ厳しくて、毎日、できるまで練習が終わらない。僕ができた!と思ってもダメ出しの連発で。夜になってしまって友達はもう外にいないし、僕は男4人の兄弟の長男ですが弟たちと遊びたいのにもう寝ちゃってて……とか、それも悲しくて、毎日結局は泣くまで練習していた記憶があります(笑)。

 

髙橋

それでも途中でやめたりなさらなかった……

 

大宮

ヴァイオリンが好きでしたから、もっと上手になりたくて。それで中学3年生で桐朋を受験しようと決めました。コンクール(全日本学生音楽コンクール)の準備で夏休みも返上、好きだった陸上の部活も3年生の時にやめました。両親がどれだけ教育費をかけて応援くれているか、もう理解できる年齢でしたから、いっしょうけんめいでした。

 

髙橋

高校から専門的な世界に入られて、高校生活はいかがでしたか?

 

大宮

ものすごく楽しかった。小さい頃はご褒美に買ってもらえるプラモデルが嬉しかったのですが、学生コンクールを受けるようになってからはその成果が励みになってきましたが、高校からは知らなかった音楽の世界が毎日広がって!練習はたいへんでしたが、同じように音楽を目指す友だちと毎日演奏できましたし、弦楽四重奏を始めてアンサンブルがこんなに面白いものかと感動の連続でした。ですから、高校3年生の時、何の迷いもなくオーケストラに入ろう!と決めました。

 

髙橋

入団なさって4年目ですが、いかがですか?

 

大宮

まだオーケストラの作品をそれほど多く弾いてきていませんし、譜読みに追われる毎日です。でも毎回、いろいろな指揮者が来られて、時代も異なる作品を演奏でき面白いです。今はさまざまなことに挑戦しながらストックを増やしているという状況でしょうか。

 

髙橋

2007年、2008年は退団なさられた方も多く、大宮さんのような若い世代の方が一挙に増えました。大宮さんが入団なさった時期は、N響にとって、メンバーが大きく変動する時期だったと思います。

 

大宮

オケって、ヴェテランの方たちがいらっしゃらなくなるとガラッと変わるのだということを体験しました。人数は同じで、技術的には頑張っていても、揃って弾いた時に、音を出すタイミング、響きの深さ、キレ等々、本当にちがうんです。僕は、伝統のN響サウンドをもっと知るべきだと思うので、ヴェテランの方とコミュニケーションをとり、可能な限り吸収したいと思っています。

 

髙橋

最近、マタニティ・コンサートや、3歳児も入れるようなファミリー向けコンサートも多くなってきましたが、大宮さんもN響の若手メンバーの方たちによるグループでそういうコンサートにも出演なさっていらっしゃいますね。

 

大宮

それも楽しくて、あんまり仕事っていう感じで演奏していません。まだオムツがとれたばかりのような3歳児が前で聴いてくれていたりするのも楽しいし!

 

髙橋

尊敬する人が、植村直己さんだそうですが。

 

大宮

カッコイイです!子どもながらに植村直己さんの著書を読んで泣けました。いっぱい読みました、植村さんの本は。誰も行ったことのない所に行くなんてすごいと思います。あの尾根まで行けば、もっとなにかあるんじゃないかと、追い求めていくわけですよね。僕も、技術的にはきちんと弾けていたとしても、同じ作品なのに昨日とは異なる地平にいる、という自分を見てみたいです。音楽はゴールのない世界でしょう?自分とは全く異なるタイプの人に憧れるのかなぁ。冒険家にばかり憧れます。

 

髙橋

到達できるかどうかわからないゴール——未知の領域——に向かっていくという点では、共通点があるかもしれないですよ。
いま次席でいらっしゃいますが、その役割はどういうものなのでしょうか?

 

大宮

自分で考えるしかありません。コンサートマスターからは特にアドヴァイスはありません。自分の隣で「盗め」ということかもしれません。第1ヴァイオリンになにかミスがあると、最初に言われるのは僕です。常にコンサートマスターとセクション全体を意識しなくてはなりません。コンサートマスターが向かおうとしている方向を逸早くキャッチし、コンサートマスターが見えない位置の楽員の方は、僕を見てもらって理解していただけるように弾いていくのが僕の仕事だと思うのです。コンサートマスターは常により良い響きを求めて、指のポジション1つにおいても考えながら演奏しています。ですから、同じフレーズで、または同じ部分を繰り返し練習した時、1度目と2度目でコンマスが指の位置を変えたりすることがありますが、それについて行き、同じように弾けていないと、いえ、逸早く察知して弾けていないといけないポジションだと思うのです。でも、コンマスのコピーに徹するだけというのもちがうかなと。次席としての研究課題は限りなくありそうです。

 

髙橋

分からない時にはどうなさるのですか?

 

大宮

直接言葉で聞きます。そしてうしろに「こうなのです」と伝えます。

 

髙橋

期待されることも多くたいへんだと思いますが、これからもどうか楽しく挑戦し続けてくださいね。

 

大宮

ありがとうございます!頑張ります!

 

 

写真撮影 ― 堀田正矩
「フィルハーモニー」2008年11月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

髙橋美鈴

聞き手

髙橋美鈴

たかはし・みすず

NHKアナウンサー。北海道出身。東京大学卒業。1994年NHK入局。「美の壺」「日本の伝統芸能」等や、「探検ロマン世界遺産」リポーターとしても活躍。