NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

青木 調

青木 調

第1ヴァイオリン

あおき・しらべ

愛知県出身。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース、および同大学院大学修了。1995年日本国際音楽コンクール第2位。2005年10月1日入団。

 

髙橋

「調さん」っていいお名前ですね?

 

青木

両親とも音楽家ではありませんが、音楽にほのかな憧れがあり、父がつけてくれました。

 

髙橋

ヴァイオリンを始められたきっかけは?

 

青木

3歳のクリスマスにヴァイオリンをもらいました。母が習い事をさせるのが好きで、教室に通わせてくれました。

 

髙橋

なんてすてきなクリスマス・プレゼントなんでしょう!青木さんは去年の10月にN響に正式入団なさったばかりですが、どうですか?

 

青木

みなさんのプロ意識の高さを改めて実感しています。最初のリハーサルから完璧なのです。演奏中になにかハプニング的なことがあっても、対応がスゴイ!

 

髙橋

そうそうたる先輩たちにまじって、緊張なさったのでは?

 

青木

もちろん緊張の連続です。でも、とても優しい方ばかりなんです、面白いことを言ってくださったり。笑わせていただいているばかりではなく、私もなにかネタを作ろうかなあと(笑)。

 

髙橋 

今年1月発行の『フィルハーモニー』特別号では、「思い出に残っている事件」に「演奏中の大地震とアシュケナージ指揮棒事件」を挙げていらっしゃいましたが。

 

青木

新潟県中越地震の日に「アシュケナージ音楽監督就任記念」の公演がありました(2004年10月23日)。ステージに出て行く直前にも揺れましたし、公演中にも大きな揺れがあり、私は逃げたいほどでしたのに、客席を見ると、お客さまが本当に静かに聴いてくださっているのです。とても驚き感銘しながら弾きました。もう1つの驚きは、その公演でアシュケナージさんが木製の指揮棒を手に刺してしまい、後半、堀正文ソロ・コンサートマスターが弾き振りするほどでしたのに、翌日は元気に出ていらしたことです。アシュケナージさんは暇さえあればピアノを弾いている方で、バック・ステージでもいつも弾いていらっしゃいますが、その日も同様に弾いてらして、なにがあっても元気なんだなあと。ロシアで育った方は、ちょっとやそっとのことでは逃げないのだなあと思いました。

 

髙橋

ピアニストでもあるマエストロにとってはたいへんな事件なはずですのに……。青木さんはオーケストラで弾く魅力はどのようなところに感じていらっしゃいますか?

 

青木

オーケストラ作品は仕組みも複雑で、それをみんなで作り上げいく魅力はもう格別です。今まで体験したことのないような、床から震動する響き、身体全体が震動するような大きな響きや、片や大勢でつくるppの緊張感など、ソロでは決して体験できないものです。

 

髙橋

そのなかでもヴァイオリンの魅力・役割は?

 

青木

私は第1ヴァイオリンで、華やかなパッセージやここぞと歌わせるところも多く、楽譜も音符で真っ黒で譜読みもたいへんですが、活躍できる時の多いパートなのでとても楽しいです。

 

髙橋

今までで印象深い公演は?

 

青木

ブロムシュテットのブラームスです。なぜそこがpなのか、そのリズムなのか、細かく楽譜を読み込む姿勢の謙虚さに感動しました。楽員への要求も多いのですが、要求に到達しなくても諦めずにご自分の理想の音楽像を実現しようとしてくださるので、勉強になります。

 

髙橋

趣味はお菓子作りだとか。

 

青木

N響入団前は、クリスマスなど、どれほど難しいかわからなままにスタートし1日中凝ったケーキに挑戦したりしていましたが、いまは焼きっぱなしのパウンド・ケーキぐらいです。オーヴンからいい香りがしてくると、それまでの苦労がすべて吹き飛びます。

 

髙橋

お聞きしているだけでケーキの焼ける美味しそうな香りがしてきます(笑)。ありがとうございました。

 

「フィルハーモニー」2006年11月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

髙橋美鈴

聞き手

髙橋美鈴

たかはし・みすず

NHKアナウンサー。北海道出身。東京大学卒業。1994年NHK入局。6年間の札幌局勤務後東京アナウンス室。「おはよう日本」で朝の顔として人気を博し、現在「N響アワー」「美の壷」等で活躍中。趣味は美術や演劇鑑賞、茶道。