NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

小林玉紀

小林玉紀

ヴァイオリン

こばやし・たまき

兵庫県出身。桐朋学園大学卒業、トロント大学留学。第57回日本音楽コンクール入選、霧島国際音楽祭賞受賞、第9回J.S.バッハ・国際コンクール特別賞(ライプツィヒ)、第37回シゲティ国際ヴァイオリン・コンクールディプロマ賞(2002、ブダペスト)受賞。1998、2000年には、世界の実力派奏者が集うプロッシア・コーヴ国際音楽祭(英、International Musicians Seminar Prussia Cove)に招待参加している。2004年5月1日N響入団。師に、故・長谷川孝一、原田幸一郎、堀正文、故ゲルハルト・ボッセ、故ロラーンド・フェニヴェシュ各氏。

 

岩槻

今年で正式入団5年目。2度目という曲もいくつか出ていらっしゃる頃かと思います。N響で演奏することの、難しさや楽しさなど、ぐっと実感なさることが増えていらしたのではないですか?

 

小林

著名な指揮者のもとで演奏する緊張感は今でも変わりませんが、同じ曲を演奏する時でも指揮者によって、全く違う曲に感じることもあるので、毎回新鮮な発見があり、日が経つにつれてどんどん面白くなってきています。

 

岩槻

単純な計算ですが、1プログラム約3曲として1か月の定期に9曲。どのように準備なさっているのですか?

 

小林

ライブラリーに使用楽譜(版)のパート譜が1か月ほど前に並びますので、コピーをとり、スコアなど見たりして準備します。

 

岩槻

常時何曲ぐらい抱えていらっしゃるのですか?

 

小林

2〜3公演分ぐらいは常に何となく頭に入れつつ、難しい部分はとりだして練習を行っています。

 

岩槻

定期でも現代の作品など、演奏頻度が低く譜読みもたいへんそうな大曲——たとえば去年4月、準・メルクル指揮での《トゥランガリラ交響曲》など——が入っていると、譜読みにもかなり時間がかかるのでは?

 

小林

私は現代の作品も好きな方なので、意外と抵抗なく取り組めます。

 

岩槻

そうなんですか!カウントするだけでもたいへんそうなのに……

 

小林

特殊な演奏法や込み入った拍子など複雑な記譜を読み解く難しさが現代の作品にはありますが、古典派やロマン派は、時代や作曲家によって、それぞれの様式を押さえなければならないので、時代によって難しさが異なります。

 

岩槻

様式感ですか。そういうことをきちんと押さえていないと正しい演奏にはならないのでしょうか?

 

小林

そればかりに捉われていてもいけないかと思いますが、そういったものを踏まえながら、さらにイメージを膨らませていきます。
楽譜から読み取って感じたものを表現するのは、本当に楽しいことで、それを聴いてくださる方がいることは、さらに嬉しいことです。

 

岩槻

リハーサルを拝見すると、みなさん、指示通りすぐに変わりますね。

 

小林

リハーサル中は、指揮者の意向にすぐ添えるように、常にアンテナを張り巡らして、察知するようにしていますので。

 

岩槻

コンサートマスターによってそれぞれ弾き方も異なると思うのですが、各コンサートマスターの出す指示などは演奏を重ねながら覚えていく感じですか?

 

小林

そうですね、弾いていくうちに何となくわかるようになってきます。コンサートマスターは各曲に対して、オケ全体の音のイメージを抱いていらっしゃると思うのですが、そこに到達するためのアーティキュレーションや音色を醸し出すためには、どういう弓の使い方をすべきか、力の入れ加減などを、常にうしろに指示しながら演奏していらっしゃいます。示してくださったその道筋を読み取り、自分なりに解釈しながら、うしろの奏者は弾いているのですが、このコンサートマスターのこの指示はこういうことなのかなどは、回を重ねるうちに徐々にわかるようになってきたという感じですね。

 

岩槻

その指示は、練習中はもちろんでしょうが、本番中もあるんですか?

 

小林

はい、もちろんそうです。

 

岩槻

客席からはなかなかわからない指示が飛んでいるのですねぇ。そういえば地方公演も多いですが、体調管理もたいへんですね。

 

小林

いろいろな所に行くのは、結構好きなんです。

 

岩槻

“深窓の令嬢”という雰囲気なのに(笑)。歩くのもお好きですか?

 

小林

はい、趣味と言えるような趣味はないのですが、散歩はよくしますね。2〜3時間、地図を見ながら、行ったことのない所に行ったりします。

 

岩槻

結構長い時間ですね。わざわざ“その場所”にいらっしゃるのですか?

 

小林

ええ、お友だちと、きょうはどこまで歩いてみようかとか。

 

岩槻

まさに、イメージを育む新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込める、素晴らしいリフレッシュ法ですね!きょうはどうもありがとうございました。

 

写真撮影 ― 堀田正矩
「フィルハーモニー」2009年11月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

岩槻里子

聞き手

岩槻里子

いわつき・さとこ

NHKアナウンサー。愛知県出身。津田塾大学卒業、上智大学大学院博士前期課程修了。1998年NHK入局。2007年6月~2008年3月までメインキャスターを務めた「お元気ですか日本列島」では気さくな人柄が人気を呼んだ。2008年7月から「COOL JAPAN―発掘!かっこいいニッポン」のナレーションを担当。2008年4月から2011年3月まで「N響アワー」に出演。趣味はヴァイオリン。