NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

三又治彦

三又治彦

ヴァイオリン

みまた・はるひこ

宮城県出身。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学卒業。2002年にはザルツブルク音楽祭においてヘルムート・ツェートマイアー氏のマスタークラスを受講し選抜受講生による演奏会に出演。これまでに勅使河原真実、辰巳明子、堀正文の各氏に師事。2006年2月1日入団。第2ヴァイオリン奏者。特定非営利活動法人ハマのJACKの代表メンバーとして、未来の音楽家支援プロジェクト「金の卵」ソリスト・オーディションや、子ども達が参加できるワークショップや演奏会を季節ごとに開催している。室内楽では昴21弦楽四重奏団や室内オーケストラ「ARCUS」で演奏するなど意欲的に活動している。

 

全体の音を聴くことで演奏の楽しみが増えました

華恵

ヴァイオリンとの出会いはいつですか?

 

三又

両親が音楽好きで、父が子どものころに弾いていた小さい楽器が家に転がっていたので、オモチャで遊ぶように弾き始めたのがきっかけですね。3歳くらいですね。

 

華恵

ピアノの選択肢もあったんですよね。

 

三又

環境としてはあったんですけど、姉がピアノを始めていましたから。そのころ、ロボットもののヒーローにはまっていまして、ヴァイオリンが盾と剣に見えてカッコいいなと思ったんです。

 

華恵

チャンバラごっこですか? 運動がお好きなんですよね?

 

三又

野球が大好きだったんです。今もN響の野球部員ですよ。東京ドームで試合をしたこともあります。

 

華恵

サッカーやフットサルという情報もありますが?

 

三又

サッカーは高校から始めて、桐朋学園のサッカー部を創設したりもしました。

 

華恵

ヴァイオリンに支障はなかったんですか?

 

三又

野球もサッカーも支障が出るほど上手くなかったですから。練習の時間が来ると帰るようにはしていました。

 

華恵

子どもの時期に遊びを途中でやめるのは苦ではなかったんですか?

 

三又

苦ではなかったですね。両親が遊ぶ時間もちゃんと作ってくれて、あまり束縛されなかったので、それが続いた理由かも知れませんね。

 

華恵

初めてN響を聞いたのはいつ頃からですか?

 

三又

小学生の時、地元の宮城県にN響がやって来たんです。とにかく近くで見たかったので一番前に座って聴いたのを覚えています。

 

 

 

華恵

この中に入って弾きたいと思われました?

 

三又

いえ、ただただ凄い迫力だなぁ、としか思いませんでした。ジュニア・オーケストラという存在も知らず、オーケストラとはまったく無縁だったからかもしれません。高校に入ってから徐々にアンサンブルに目覚めていって、大学3年のときに初めてエキストラとしてN響に乗せてもらった時にできたら入りたいと思い、現在に至るわけです。

 

華恵

初めてのN響はどのようなプログラムでしたか?

 

三又

朝比奈隆さんでブルックナーの《交響曲第4番「ロマンティック」》でした。学生席で聴く演奏と、実際に弾くのとは全然違いました。

 

華恵

何が一番違いましたか?

 

三又

N響が奏でるブルックナーの音に驚きました。ヴァイオリンもさることながら、他の弦楽器の音の作り方や音楽の呼吸の仕方など感嘆するばかりでした。その時はただただついて行くのに必死で終わってしまいましたが。

 

華恵

N響に入られてからご自身に何か変化はありましたか?

 

三又

N響の第2ヴァイオリンのセクションに入って一番よかったことは、曲の全体の音を聞くようになったことですね。オーケストラ全体の流れを感じ、その時々の音楽の作り方を首席の背中で教えてもらいました。この箇所では他のパートとコンタクトを取りながら演奏する、ここでは第2ヴァイオリンが主体性を持って演奏するなど様々なことを背中で見せてくれたんです。自分のパートだけしか見えていなかったのが、音楽全体に目を広げたことによって、室内楽を演奏するときでも、姿勢がまるで変わりました。相手の音楽をより感じられることにより演奏の楽しみが増えましたね。素晴らしい先輩方に囲まれていたおかげです。

 

華恵

今度は背中で教えていく側になるんですね。

 

三又

そうできればいいですね。

 

 

写真撮影 ― 藤本史昭

2013年1月取材 ※記事の内容およびプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

華恵

聞き手

華恵

はなえ

1991年アメリカ生まれ。6歳から日本に住む。2003年、12歳で『小学生日記』を刊行し、エッセイストとしてデビュー。NHK BSプレミアム「世界遺産~一万年の叙事詩~」でのナビゲーター、連載エッセイなど、幅広く活躍中。現在、東京藝術大学音楽学部楽理科に在学中。