NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

髙井敏弘

髙井敏弘

ヴァイオリン

たかい・としひろ

神奈川県出身。4歳よりヴァイオリンを始める。東京音楽大学器楽科卒、同大学特待生。桐朋学園大学研究科修了。第16 回神奈川音楽コンクール・ヴァイオリン部門高校生の部入選。第10回日本クラシック音楽コンクール入選。ブラビシモクラシカ、ファイナリスト賞。これまでに堀正文、窪田茂夫、二村英之、加藤真栄の各氏に師事。2007年7月1日入団。第1ヴァイオリン奏者。現在、室内オーケストラ「ARCUS(アルクス)」のメンバーとしても活動している。

 

庶民的なヴァイオリニストになりたいと思っています

岩槻

髙井さんは4歳からヴァイオリンを始められたそうですが、その頃の記憶はありますか。

 

髙井

いえ、まったく覚えていません。気が付いたらヴァイオリンを弾いていました。

 

岩槻

どんなきっかけでヴァイオリンを習うことになったのでしょう。

 

髙井

母親から聞いた話で僕自身は覚えていないのですが、きっかけはNHK教育テレビで放送されている「おかあさんといっしょ」の中の「にこにこぷん」という人形劇のコーナーなんだそうです。じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろりというキャラクターたちが登場するのですが、その中のぽろりがヴァイオリンを弾いているのを見て、あれをやりたいと僕が言ったようです。

 

岩槻

以前「N響アワー」で若手奏者の方々にインタヴューしたときに、もし今の仕事につかなかったら何になっていましたかという質問をしましたが、覚えてらっしゃいますか。

 

髙井

はい。僕、そのときに「ラーメン屋さん」と答えたんですよね。それ以来、周りの人からラーメン屋さんと呼ばれるようになってしまいました(笑)。メンバーもそうですが、別のコンサートを聴きにきてくださったお客さまからも「あ、N響のラーメン屋さんの人ですね」と言われてしまった。

 

岩槻

すごくインパクトがあったんでしょうね(笑)。

 

髙井

食べることが好きなので、もしヴァイオリンを弾いていなかったら料理人に興味を持っただろうなと思ったんです。普段から家庭では料理をしていますので。

 

岩槻

すてきですねえ。きっと奥様からとても感謝されてますよ。髙井さんは大学時代に西村朗さんの授業を受けたことがあるそうですね。

 

髙井

はい、現代音楽の授業でした。楽器を持ってきて特殊な奏法を試したり、ピアノの先生といっしょにいろいろな楽譜を渡されて弾いたりとか、CDを聴いたりとか、おもしろかったですよ。

 

岩槻

理論ばかりじゃないんですね。

 

髙井

理論より実践です。授業は毎回出席していました。大学に入る前は「現代音楽なんてありえない、音楽じゃない」と思っていたほどでしたが、作曲科の友人がたくさんいたこともあって現代音楽には興味が出てきたんです。実際に弾いてみたらおもしろいと思う瞬間がたくさんありました。

 

岩槻

室内オーケストラ「ARCUS」でも弾いてらっしゃるそうですね。

 

髙井

はい。「ARCUS」はN響をはじめ在京のオーケストラの若手奏者たちが中心となって、指揮者を立てずに自分たちの考えたプログラムを演奏しようというアンサンブルです。みんなでわいわい話し合いながら練習する室内楽の拡大版みたいな感じですね。オーケストラとして古典を弾くこともあれば、弦楽四重奏のような室内楽を演奏することもあります。

 

岩槻

N響には入団して3年が経ったところですが、もうなじんできましたか?

 

髙井

とても居心地がいいですよ。入団前のエキストラで出させていただいていたときからそうでしたが、周りの方々がよくしてくださるし、ストレスはありません。

 

岩槻

この人と共演したいという演奏家はいますか。

 

髙井

僕はずっと樫本大進さんが好きで、ロン・ティボー国際コンクールで優勝したときのCDなんかもよく聴いていました。N響にも何回かいらっしゃいましたが、お人柄もすてきですし、演奏もすばらしいですから、彼のような人と共演できたら楽しいだろうなと思います。

 

岩槻

どういうヴァイオリニストを目指していますか。

 

髙井

お客さんとあまり垣根を作らないようにしたいですね。庶民的なヴァイオリニストになりたいと思っています。

 

文 ― 飯尾洋一/ 写真撮影 ― 松井伴実
「フィルハーモニー」2010年12月号掲載※ 記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

岩槻里子

聞き手

岩槻里子

いわつき・さとこ

NHKアナウンサー。愛知県出身。津田塾大学卒業、上智大学大学院博士前期課程修了。1998年NHK入局。2007年6月~2008年3月までメインキャスターを務めた「お元気ですか日本列島」では気さくな人柄が人気を呼んだ。2008年7月から「COOL JAPAN―発掘!かっこいいニッポン」のナレーションを担当。2008年4月から2011年3月まで「N響アワー」に出演。趣味はヴァイオリン。