NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

白井 篤

白井 篤

ヴァイオリン

しらい・あつし

神奈川県出身。国立音楽大学付属音楽高校を経て桐朋学園大学卒業。2003年、アフィニス文化財団海外研修員としてウィーンへ留学。名取美保、守岡輝、日高毅、篠崎功子、アレキサンダー・アレンコフの各氏に師事。現在、クァルテット・リゾナンツァ、室内オーケストラ「ARCUS」メンバーとしても活動している。また、国立音楽大学付属中学・高校では講師をつとめる。2006年からは、浜離宮朝日ホールにおいて毎年リサイタルを行っている。1999年1月1日入団。第2ヴァイオリン・フォアシュピーラー(次席奏者)

 

音楽をつくっている、という実感と喜びを味わっています

岩槻

お髭がすっかりトレードマークでいらっしゃいますね。ステージでも目立ちます。いつからですか?

 

白井

2003年に1 年間ウィーンに留学しました。既に30 歳を越えていたにもかかわらず、海外では17 歳くらいの子どもにしか見られないので、せめて20歳ぐらいに見られたくて。

 

岩槻

そして、何とトランペットも吹かれるとか。

 

白井

中学時代はブラスバンドが楽しくて、トランペットを独学で吹いていました。同時に地元のジュニア・オーケストラでヴァイオリンを弾いていました。こちらは音楽教室で習いました。中学3年生で音楽高校の受験を考えるまでは、練習が嫌いでヴァイオリンはそれほど熱心にやっていませんでした。

 

岩槻

音楽家になろうとは?

 

白井

まったく考えていませんでした。友人につきあって音楽高校を受けるまでは。流されるタイプなんです(笑)。

 

岩槻

留学なさって、お髭以外の(笑)成果はいかがでした?

 

白井

あらためて、日本が好きになりましたね。たった1年でしたが外から日本を眺めることで、今まで当たり前だったことがそうではないということに気づき、日本文化に興味を持つようになりました。

 

岩槻

どなたに師事されたのですか?

 

白井

アレキサンダー・アレンコフさんというロシア人で、オイストラフの弟子だった方です。腕の重さをしっかりのせて弾く演奏法です。最初は、音階だけ、簡単なエテュードだけを、「まだだめだ、全然違う」とずっと繰り返されましたが、とても良い勉強になりました。

 

岩槻

何か変わりましたか?

 

白井

半年たったころ、少し何かが変わったかなと感じ始めました。その感覚を維持するために、今も年に一度、ウィーンにレッスンに行っています。レッスンを受けてから、ウィーンで小さいリサイタルを開くことも。

 

岩槻

日本に帰国されてからもリサイタルを精力的に開いていらっしゃいます。

 

白井

年に1回、小さいのは2ヶ月に1回くらいの頻度です。準備や練習は大変ですが、好きなので楽しみでもあります。

 

岩槻

弦楽四重奏団も組んでいらっしゃいますね。

 

白井

今年からベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏するシリーズを始めました。メンバーは山口裕之さん、小野聡さん、山内俊輔さんで皆、N響の楽員です。当初、中村弓子さんが担当されていたセカンド・ヴァイオリンは、現在はコンサートマスターの山口裕之さんが引き継いでくださっています。山口さんがセカンドを弾いてくださることは、言葉で実際におっしゃることも勉強になりますが、ただ弾いているときの身体の使い方を拝見しているだけでためになります。

 

岩槻

現在、フォアシュピーラーというお立場ですね。特に心がけていらっしゃることはありますか?

 

白井

オーケストラのトゥッティであっても姿勢は同じです。

 

岩槻

第2ヴァイオリンというのはオーケストラ全体の中ではどんなセクションですか?

 

白井

私は第2 ヴァイオリンで入団して、その後第1ヴァイオリンも経験しました。今また第2ヴァイオリンで弾いていて、あらためて思うのは、内声を弾く楽しさ、面白さでしょうか。メロディラインを弾くのとはまた別の、音楽をつくっている、という実感を味わえてとても喜びがあるセクションです。

 

 

文 ― 猪上杉子/ 写真撮影 ― 松井伴実
「フィルハーモニー」2010年11月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

岩槻里子

聞き手

岩槻里子

いわつき・さとこ

NHKアナウンサー。愛知県出身。津田塾大学卒業、上智大学大学院博士前期課程修了。1998年NHK入局。2007年6月~2008年3月までメインキャスターを務めた「お元気ですか日本列島」では気さくな人柄が人気を呼んだ。2008年7月から「COOL JAPAN―発掘!かっこいいニッポン」のナレーションを担当。2008年4月から2011年3月まで「N響アワー」に出演。趣味はヴァイオリン。