NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

嶋田慶子

嶋田慶子

ヴァイオリン

しまだ・けいこ

静岡県出身。3歳よりヴァイオリンを始める。東京藝術大学を経て、同大学院修士課程を修了。1994年、日本演奏連盟主催の日演連推薦 新人演奏会にて仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演。山岡耕筰、日高毅、海野義雄、堀正文、大谷康子、G.ボッセ、L.シュピーラーの各氏に師事。現在、N響の活動のほか、ソロや室内楽などにも積極的な活動を展開。東京音楽大学および付属高校の非常勤講師として後進の指導にもあたっている。2000年8月1日入団。第2ヴァイオリン奏者。

 

のぼり棒やセミ捕りも得意、N響の「野生児」です(笑)

岩槻

N響の楽員の方は早期教育を受けられた方が多いですが、嶋田さんも3歳からヴァイオリンを習い始められたとのこと、そのころのことは覚えていますか?

 

嶋田

母に確認して来ました(笑)。父の転勤の関係で幼稚園に1年間入園するのが遅れたので、代わりに何か習い事をというのが動機だったそうです。西宮で個人の先生のヴァイオリン教室へと通い始めました。その先生が「西宮少年少女合奏団」を主宰していらして、アップリケの付いた紺色のスカートと白いブラウスを着て参加したのが初めてのアンサンブルの体験でした。ブラームスの《ハンガリー舞曲 第1番》と《第5番》を演奏したとき、「かっこいい」と感激したことは強く覚えています。この幼児体験のおかげで合奏が好きなのかもしれません。

 

岩槻

ヴァイオリンを嫌いになったことは?

 

嶋田

小学生のころ、夏休みに父の知人の家族と海辺で過ごしたときに、練習をしてから遊ぶ、という約束だったのですが、練習をした部屋が「暗かった」ことを覚えています。早く遊びに行きたかったんですよね。

 

岩槻

それくらいですか?

 

嶋田

もちろん大きくなってからは、幾度も思いましたよ。でも学生のころなどに、常にきちきちに詰めて伸びきってしまうよりも、適当な息抜きを知って多少のんびりですがやってきたことも、それなりに良かったのではと最近思っています。

 

岩槻

3歳から始めて良かったことは何でしょう?

 

嶋田

ヴァイオリンは、普段あまり使わない左手の薬指と小指を自由に動かせることが大事なので、小さいころからはじめて良かったと思います。パガニーニなどの作品の場合は特に、他の指と遜色なく動かせないと上手く弾けないので今もそのためのエクササイズは取り入れたりしています。私はこんなに小指が短いのですが。

 

岩槻

本当ですね。あら、私も短い(笑)。小さいころはヴァイオリンばかりでしたか?

 

嶋田

いえいえ。のぼり棒は得意でクラスで一番でした。父と弟と釣りにもよく行きましたし、セミ捕りも得意でしたよ。

 

岩槻

「野生児」だったんですか?

 

嶋田

ええ、N響の「野生児」は私です(笑)。

 

岩槻

でも勉強熱心と評判です。

 

嶋田

音楽一筋で来なかっただけに今、少しでも追いつきたくて勉強しているんです。N響入団からちょうど10年になりますが、コンサートマスターの堀正文先生やレオン・シュピーラー先生に請うてレッスンを受けたりもしています。シュピーラー先生はカラヤン時代のベルリン・フィルでコンサートマスターをなさっていた方で、来日の度にいろいろ教えてくださいます。またN響のメンバーとのアンサンブルをするなかで教わることもとても多いですね。楽器に関係なく「音楽」を知っていらっしゃる方が多いので。オーケストラにいるからこそ学べる絶好の機会ですね。

 

岩槻

リサイタルも毎年なさっていますね。

 

嶋田

静岡でのリサイタルも10年になります。続けること、積み重ねることはやはり意味がありますね。夏休みは練習に励みました。自分で練習を積んでいると、見えてくるものもあることがわかってきました。

 

岩槻

定期公演などのオーケストラの練習だけでも大変でしょうに。

 

嶋田

水泳の北島康介選手がテレビ番組で、本番に自信を持って臨むためには、やはり練習に次ぐ練習しかないと言っていました。どの世界もプロフェッショナルはいっしょだな、頑張らなくちゃと励まされました。

 

文 ― 猪上杉子/ 写真撮影 ― 松井伴実
「フィルハーモニー」2010年11月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

岩槻里子

聞き手

岩槻里子

いわつき・さとこ

NHKアナウンサー。愛知県出身。津田塾大学卒業、上智大学大学院博士前期課程修了。1998年NHK入局。2007年6月~2008年3月までメインキャスターを務めた「お元気ですか日本列島」では気さくな人柄が人気を呼んだ。2008年7月から「COOL JAPAN―発掘!かっこいいニッポン」のナレーションを担当。2008年4月から2011年3月まで「N響アワー」に出演。趣味はヴァイオリン。