NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

中竹英昭

中竹英昭

ヴィオラ

なかたけ・ひであき

熊本県出身。東京藝術大学卒。7歳よりヴァイオリンを始め、後にヴィオラへ転向。大学卒業と同時に読売日本交響楽団に入団、ヴィオラ副主席奏者として在籍。これまでに井上武雄、中塚義昭、菅沼準二の各氏に師事。1989年9月1日入団。ヴィオラ次席代行。現在、室内楽の分野において東京プロ・アルテ合奏団、N響メンバーによる室内合奏団などのメンバーとして数多くの演奏会に出演するほか、ヴァイオリンとのデュオ・リサイタルなども開催。クラシック音楽のみならず、あらゆるジャンルのコンサートに力を注ぎ、多方面にわたる演奏活動を行っている。

 

ヴィオラの魅力は相手がどんな楽器でも合うところです

黒崎

熊本県人吉市のご出身で、毎年地元で演奏されているとか。

 

中竹

人吉は人口約3万6千人で、ホールはありますが、地理的にオーケストラではなかなか行きづらい場所なんです。私が高校生のときは、生の演奏を聴く機会がほとんどなくて、今はこういう立場になったのでやってみようと思い、最近はボランティアで無料コンサートを開き、出身高校の音楽の授業等で演奏しています。

 

黒崎

故郷への愛情が伝わってきますね。人吉の魅力はどんなところにありますか?

 

中竹

自然、それから人情ですね。N響のみんなが言いますけど、人吉の人はすごくやさしくて、また絶対行きたいと、リピーターが結構います。楽器を持たずに行きたいとか。そういうことを聞くと嬉しいですね。

 

黒崎

人吉での演奏会は何人くらいのメンバーなんですか?

 

中竹

1人だったり、4人だったり。4人といっても弦楽四重奏ではなく、今はフルートとファゴットとヴィオラとピアノの四重奏です。

 

黒崎

その組み合わせの面白さはどういうところに?

 

中竹

音を出す媒体が全部違います。ピアノは弦を叩いて音を出しますし、フルートは直接管を吹いて音を出します。ファゴットは、リードを用いるし、ヴィオラは弦を振動させたりピッツィカートで、というように三者三様の音色や音域の妙が面白いんです。フル編成は4人ですけど、それ以外にデュオやトリオ、ピアノ伴奏でソロで演奏することもできます。

 

黒崎

どんな曲をどんな風に演奏するんですか?

 

中竹

楽器の特性を大事にして、例えばレパートリーの一つでもあるバルトークの《ルーマニア民俗舞曲》だと、低音部などはその音色や音型を生かしてファゴットが担当しますが、弦楽器の厚い和音が必要な部分は、ピアノだけではなく弦楽器1本だけで重音を出すとか、軽快なところはフルートでやってもらうとか。そうやって音を出しては、また編曲して、と試行錯誤しながらやっています。

 

黒崎

やって良かったなという曲はありますか?

 

中竹

ラヴェルの《マ・メール・ロア》ですね。語りを入れて演奏したのですが、放送局の若手のアナウンサーなどにお願いして、同じステージの上で、5つの曲の冒頭に物語を話してもらいました。聴衆にとってもわかりやすい曲になったのではないでしょうか……。

 

黒崎

ヴィオラの魅力と言いますと?

 

中竹

おそらくヴィオラを弾いているみなさんが言われると思いますが、相手がどんな楽器でもそれなりに溶け合うことです。以前、尺八のパートをヴィオラで弾いてお琴と一緒に演奏したら結構評判が良くて、それがきっかけで他の楽器とコンサートを始めました。

 

黒崎

この楽器とやったら面白いかもというのはありますか?

 

中竹

以前、打楽器の人と一緒にやろうと話したことがあります。ヴィオラはおとなしくて重たい、鈍い楽器と感じられる方が多いかもしれませんが、この組み合わせで打楽器のリズムとヴィオラのリズムを溶け合わせたら面白いのではないかと思っています。それと、これも実現はしていませんが、三味線と一緒にという話もありました。

 

黒崎

最後に、N響の演奏会で印象に残っている演奏はありますか?

 

中竹

ロシアのスヴェトラーノフさんが最初に来られた時のチャイコフスキーの《交響曲第4番》には驚きました。何もしなくても出てくる音が全然違って、これはすごいなと。普通に弾いていたら、そうじゃない、こういう風に弾いてくださいと言われて、その通りにヴィブラートを少なめにしたらパン!と変わったんです。また、今年4月の震災チャリティー・コンサートの《第9》は、演奏していても胸にこみ上げるものがありました。指揮のメータさんは、昔は声が大きくてすごく怖くて緊張たことを覚えていますが、今回はだいぶ優しくなりました。でも、目つきの鋭さは昔のままでしたよ。

 

文 ― 柴辻純子/ 写真撮影 ― 松井伴実
「フィルハーモニー」2011年9月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

黒崎めぐみ

聞き手

黒崎めぐみ

くろさき・めぐみ

NHKアナウンサー。神奈川県横浜市出身。東京大学卒業。1991年NHK入局。これまでに「紅白歌合戦」、「生活ほっとモーニング」、「世界びっくり旅行社」などの番組を担当。2006年、2007年、2009年にNHKホールで行われた「N響ほっとコンサート」では司会を務めた。2011年4月から2012年3月まで「N響アワー」に出演。趣味は舞台芸術鑑賞。