NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

船木陽子

船木陽子

ヴァイオリン

ふなき・ようこ

東京都出身。5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋学園大学を経て同大学研究科修了。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の首席奏者を3年間務めた後、2000年8月1日入団。第2ヴァイオリン奏者。これまでに海野義雄、大谷康子、原田幸一郎、堀正文の各氏に師事。現在はソロや室内楽での活動、また後進の指導にも力を注いでいる。

 

大学のオーケストラで最初の音を出したときの感動は忘れません

黒崎

N響に入団されて10年ちょっとですね。

 

船木

中堅になったねって最近よく言われます。ある時期を境に若い人たちが増えて、いつの間にか教える立場になってしまって。教えるのは難しいですね。

 

黒崎

ヴァイオリンはいつから始められたのですか。

 

船木

5歳からです。両親は音楽家ではありませんが、父が音楽好きで、NHK-FMのクラシック放送を(もちろんN響定期も!)テープに録音してはよく聴いていたので、小さい頃から家ではずっとクラシックがかかっていました。

 

黒崎

本格的にヴァイオリンの道に進もうと思われたのは?

 

船木

高校時代に先生から「どうして音楽の道に進まないのか」と言われたのがきっかけでした。ずっとレッスンを受けていましたから、そういう道もあるのかなと。ただヴァイオリンをやっていることは誰にも言ってなかったので、周囲の友達にはびっくりされました。

 

黒崎

音大に進まれてからは?

 

船木

大学で初めてオーケストラを経験しました。たしかベートーヴェンの《交響曲第1番》でしたが、最初の音を出したときに、すごく感動したんです。こんなにいいものなのかと、ジーンときて涙が出てきました。あの感動だけは今でも忘れません。その授業で、私はオーケストラが好きなのかもと思いました。

 

黒崎

卒業後もオーケストラの仕事がやりたいと。

 

船木

そうですね。オーケストラの曲は子供の頃からずっと聴いていて、楽譜は見ていなくても、耳から入っていた曲がたくさんありましたから。

 

黒崎

印象に残っている指揮者は?

 

船木

たくさんいます。素晴らしい指揮者との出会いは宝物です。そのなかで……と言われたら、サヴァリッシュさんかなあ。極度の緊張状態でステージに上がるのですが、演奏後はなんとも暖かで満たされた幸せな気分になっているのです。

 

黒崎

練習を拝見すると、N響の皆さんは多くを語らずに音楽を作り上げていきますね。

 

船木

見て覚えなければいけませんし、わからないことは自分で聞きに行かなければいけません。私は納得するまで先輩方に聞きますが、本当に丁寧に教えてくださいます。自分で気づかないことや、小さなことでも大きなことにつながる指摘が多くて、本当に鋭いです。それとN響では演奏しているとき、他の楽器の方の息づかいなどを空気で感じられるんです。会話がなくてもそのときの波長というか、こんなことを感じていたんだとわかると、すごくうれしいです。

 

黒崎

これから挑戦していきたいことはありますか。

 

船木

新しい曲にチャレンジしていけたらと思っています。それと、昨年の大震災後に福島の知人に頼まれて被災地に行ったんです。GWの頃で、物資は足りているからヴァイオリンを弾いてほしいと。日本の歌をメドレーにして、最後に《ふるさと》を弾いたら拍手が鳴り止まなくて。童謡にしても日本の歌にしても、良い曲がたくさんあることに気づかされました。また、そういうところで演奏するには、一緒になって泣いてはいけないということも。感情をコントロールするのが大変だなと思いました。今までは何のために楽器を弾いているのかよくわかっていませんでしたが、また聴かせてくださいと言われて、これまで味わったことのない気持ちになりました。

 

黒崎

気分転換にしていることはありますか?

 

船木

少し前からフラメンコをやっています。カスタネットを叩いたり足を動かせば、それなりにできるかなと思ったら、リズムがすごく複雑で。《春の祭典》の変拍子なら弾けるのに、フラメンコは身体が思うようについていかなくて……。いつも悩まされています(笑)。

 

文― 柴辻純子/ 写真撮影― 笠井佳江
「フィルハーモニー」2012年1月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

黒崎めぐみ

聞き手

黒崎めぐみ

くろさき・めぐみ

NHKアナウンサー。神奈川県横浜市出身。東京大学卒業。1991年NHK入局。これまでに「紅白歌合戦」、「生活ほっとモーニング」、「世界びっくり旅行社」などの番組を担当。2006年、2007年、2009年にNHKホールで行われた「N響ほっとコンサート」では司会を務めた。2011年4月から2012年3月まで「N響アワー」に出演。趣味は舞台芸術鑑賞。