NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

西山健一

西山健一

チェロ

にしやま・けんいち

長野県出身。13歳よりチェロを始める。東京藝術大学卒業。在学中にアカンサス音楽賞を受賞。第4回全日本ビバホールチェロコンクール入賞。これまでにチェロを菊地知也、河野文昭、クリストフ・ヘンケル、フィリップ・ミュレール、マーティン・レーアの各氏に師事。2005年にアフィニス文化財団の研修生としてドイツ・ベルリンにて研鑽を積む。2003年4月1日入団。現在、双子の弟・真二(N響コントラバス奏者)とのデュオ「Duo Twins」や、ピアノ・トリオ「Schaffen Trio」のメンバーとしても活躍している。

 

双子の弟と間違えられることは日常茶飯事です(笑)

黒崎

コントラバスの西山真二さんと双子のご兄弟でいらっしゃいます。常に注目を浴びるのにはもう慣れていらっしゃるのですか?

 

西山

すぐに覚えてもらえますから。でも間違えられることも多いです(笑)。

 

黒崎

N響の楽員からもまだ間違えられますか?

 

西山

日常茶飯事です。お客様からも僕が出ていなかった演奏会について「この間はよかったわよ」と声をかけられたり。説明する余裕がないときには、しかたなく頷いてしまうこともあり、申し訳ないのですけど。

 

黒崎

お二人とも多趣味ですね?

 

西山

興味を持つと、のめり込みやすい性格なんです。それがたまたま楽器にも向けられて、チェロとコントラバスを始めてみたらすっかり楽しくなってしまって。

 

黒崎

それからどうやって分かれたのですか?

 

西山

中学の弦楽合奏部に入って男性は大きな楽器へと振り分けられたとき、真二は低い音の方がいいと言ってベースを、僕はチェロのほうがはじめからよかった。同じ楽器じゃなくてよかったです。

 

黒崎

楽器を選んだときにそれが一生の仕事になるという感じはありましたか?

 

西山

そのときは夢にも思いませんでした。ただ、学校の図書館でみつけた「音楽家になるためには」という本を見て二人で相談し合っていました。東京の先生に習うように、などと書いてあったのですが、長野県でしたからまったく縁がありませんでした。本格的に習いたい気持ちだけがどんどん高まっていきましたが、どうしたらいいのかわからなかった。

 

黒崎

手探りで探された?

 

西山

僕のチェロの場合、まずレッスン・ビデオを見て自己流で始めて、その後アマチュアの先生に就き、やっと軽井沢での講習会を見つけて参加して道が開けました。

 

黒崎

二人だから続けてこられたのでしょうか?

 

西山

同じものに興味を持ったので協力して情報を集めてきては検討しました。

 

黒崎

N響で10年になりますね。チェロはどんなセクションですか?

 

西山

気軽に意見交換ができ、演奏をする時でもみんなが自分を出しています。遠慮して自分を抑えなくてもいいような、まとまった雰囲気があります。

 

黒崎

印象に残っている指揮者はどなたですか?

 

西山

サヴァリッシュさんと最後のベートーヴェンの《第7番》を演奏できたことは思い出深いです。舞台袖に退いた後でもずっと拍手がやみませんでした。研修期間が終わるか終わらないかのときに、ゲルギエフさんの指揮でストラヴィンスキー《春の祭典》を演奏しました。必死に身体を使って弾いた演奏会として思い出に残っています。最近のソリストでは、ヴァイオリンのツィンマーマンさん。アンコールでバッハを弾かれたときに、「もうこれで終わってしまうのか」「もっと聴いていたいのに」という淋しい空気が客席に満ちたのを感じました。

 

黒崎

同じ舞台に立っていてもお客様の気分はわかりますか?

 

西山

空気を通じて感じられます。それにチェロの位置からはお客様の表情がよく見えますから。

 

黒崎

オーケストラ以外の室内楽の活動で大事にされていることは何ですか?

 

西山

オーケストラでできないことに挑戦し、そこで得たものをまたオーケストラでの演奏で出してみるという循環がうまくいけばと思っています。

 

黒崎

真二さんとのデュオはどんな感じなんですか?

 

西山

一番気楽な間柄なので、お互いに言いたいことを言い合っています。もっとこのデュオで、低い音の魅力と落ち着いたお喋りを小さい会場で楽しんでいただく機会を持ちたいですね。ベルリンの留学中にも、日常と切り離せないところに常に音楽があると感じました。音楽に気軽に触れて楽しんでいただく機会をもっとつくっていきたいですね。

 

 

文 ― 猪上杉子/ 写真撮影 ― 松井伴実
「フィルハーモニー」2011年10月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

黒崎めぐみ

聞き手

黒崎めぐみ

くろさき・めぐみ

NHKアナウンサー。神奈川県横浜市出身。東京大学卒業。1991年NHK入局。これまでに「紅白歌合戦」、「生活ほっとモーニング」、「世界びっくり旅行社」などの番組を担当。2006年、2007年、2009年にNHKホールで行われた「N響ほっとコンサート」では司会を務めた。2011年4月から2012年3月まで「N響アワー」に出演。趣味は舞台芸術鑑賞。