NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

松田拓之

松田拓之

ヴァイオリン

まつだ・ひろゆき

山口県出身。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、桐朋学園大学卒業。ヴァイオリンを辰巳明子、堀正文の各氏に師事。2000 年8 月1 日入団。第1ヴァイオリン奏者。現在、室内オーケストラ「アルクス」、「東京フィロスクァルテット」のメンバーとしても活躍している。

 

自分ができる最高のパフォーマンスをしたいと思っています

黒崎

食べ歩きがお好きなんですか。

 

松田

食べることが好きで、地方に行ったら美味しいものを探して歩いたりします。九州に行けば美味しいところがいっぱいあるし、ラーメンは熊本や久留米とか好きですね。美味しいものを美味しそうに写真に撮ることが好きです。

 

黒崎

N響のメンバーとして、思い出に残る演奏会はありますか?

 

松田

指揮者が素晴らしかったとか、みんなの気持ちがひとつになったといったものはいっぱいありますけど、それをもっと増やしていかなければいけないなと思っています。

 

黒崎

N響の中で中核を担う世代になってきていますね。

 

松田

そうですね。最近若い人たちも入ってきて、これからどういう方向に向かっていくのかみんなが一生懸命考えなければいけない時期に来ていると思います。すぐに何かすることは無理ですけど、ちょっとずつでもみんなができることをとにかくやる。演奏に関しても、これだけたくさんのお客様が来て下さるのですから、自分が出来る最高のパフォーマンスをしたいなと思っています。みなさん時間をかけて、数か月前からチケットを取って、地方から来て下さるお客さんもいらっしゃるのですから。本当にありがたいことです。

 

黒崎

これからのN響について話し合ったりしますか?

 

松田

若手がこれだけ増えてきたので、まずはヴァイオリンの若手で話ができたらと思って、食事をしたりすると、たまには真面目な話になることも。同じ譜面台を見るプルト同士では会話していても、みんながどういう風に考えているのか、後ろはどういう風に弾いているのか、意外に話す機会がないですからね。

 

黒崎

大事な役回りですね。

 

松田

役回りというか、立場というか。そうなっちゃったんですよ(笑)。僕たちはこれまで素晴らしいプレイヤーに囲まれて育って、その安心感の中で自分がどう頑張るかということでした。もちろん今もそういう要素はありますが、若手には間違えないようにという演奏を超えて、音楽と向かい合いながら自分の最高のものを出すようにしてもらえれば、もっと良くなると思います。

 

黒崎

小さいお子さんに教えるのもお好きなんですね。

 

松田

子供たちに真剣な演奏をするというのは、僕らにとっても意義深く、アンダーソンの《そりすべり》などの軽やかな曲も真剣にやっています。一生懸命やれば子供たちも自然に引き寄せられてきますから。

 

黒崎

子供にも伝わるんですね。

 

松田

長い曲はなかなか我慢してくれませんけど、プロコフィエフやブラームスなども意外とちゃんと聴いてくれますし、現代音楽も弾いたことがあります。

 

黒崎

現代音楽ですか?

 

松田

ベリオの《2 つのヴァイオリンのための34 の二重奏曲》は、彼が友人や作曲家のイメージをもとに作曲した曲集ですが、1曲約1分前後と短いので、その中から演奏し、子供たちに自由にイメージを膨らませてもらいます。自分の想像を絵に描いてくれた子もいました。

 

黒崎

ご自身が企画をされるステージはどのくらいありますか?

 

松田

それほど多くはないです。若手を中心にアンサンブルを組んでいて、みんなで集まって、ああだこうだと言いながらプログラムを決めています。すべて自分たちで分担しながらやっているので面白いですね。

 

黒崎

オーケストラとは別の達成感があるのでしょうか?

 

松田

アンサンブルではみんな立場は一緒です。意見を出し合ってみんなで考えます。そうすると演奏に責任を持つようになりますね。

 

黒崎

気分転換はどうしていますか?

 

松田

音楽が好きだから特に意識はしていませんが、演奏旅行は楽しんでいます。旅館に泊まったり、面白い移動方法で行ってみたりして楽しみを見つけています。

 

文 ― 柴辻純子/ 写真撮影 ― 笠井佳江

「フィルハーモニー」2012年5月号掲載 ※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

黒崎めぐみ

聞き手

黒崎めぐみ

くろさき・めぐみ

NHKアナウンサー。神奈川県横浜市出身。東京大学卒業。1991年NHK入局。これまでに「紅白歌合戦」、「生活ほっとモーニング」、「世界びっくり旅行社」などの番組を担当。2006年、2007年、2009年にNHKホールで行われた「N響ほっとコンサート」では司会を務めた。2011年4月から2012年3月まで「N響アワー」に出演。趣味は舞台芸術鑑賞。