NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

楽員インタビュー

中村翔太郎

中村翔太郎

ヴィオラ

なかむら・しょうたろう

兵庫県出身。4歳よりヴァイオリンを始め、2005年東京藝術大学附属音楽高校入学を機にヴィオラに転向。2010年、第15回コンセール・マロニエ21弦楽器部門第1位。2011年9月に栃木県交響楽団と、翌2012年2月に藝大フィルハーモニアと協奏曲を演奏。東京藝術大学卒業。学内にて同声会賞、アカンサス音楽賞、三菱地所賞受賞。東京ジュニアオーケストラソサエティ講師。これまでにヴィオラを百武由紀、川﨑和憲の各氏に師事。2014年6月1日入団。

 

これからのN響の音楽も作っていきたい

華恵

ヴィオラとはどのように出会われたのですか?

 

中村

4歳からヴァイオリンを習っていましたが、高校受験の時にヴァイオリンの先生が「性格がヴィオラに向いている」とおっしゃってくださったので、ヴァイオリンとヴィオラを併願で受けました。両方受かっていたのですが、東京に出てくるならヴィオラに転向しようと決めていたので、そこからです。もし落ちていたら地元の音楽高校でヴァイオリンを勉強する予定でした。

 

華恵

それはヴィオラの役割に性格が合っているということですか?

 

中村

周りをよく見ることができ、派手に立ち回らずに落ち着いているほうを好むところでしょうか。

 

華恵

ヴィオラにはすぐになじめましたか?

 

中村

はじめはヴィオラに対してまったく良いイメージは持っていなかったです。最初に聴いた曲がヒンデミットの《無伴奏ソナタ》で、メロディがどこにあるのかさっぱり分からない曲でした。こんな曲しかない楽器なのかと思っていました。それが、ヴィオラを学ぶにつれて、素敵な曲はたくさんあるし、アンサンブルでは内声として引っ張っていけるので、なんて楽しい楽器だろうと気づきました。普段は内声として支えることが多いですが、メロディが出てきた時は嬉しくなってがんばって弾いています。もちろん今ではヒンデミットは大好きです。

 

華恵

ヴィオラが最も聞こえてくる、一般の方もなじみのある曲というと?

 

中村

やっぱりヴィオラ協奏曲ですね。バルトーク、ヒンデミット、ウォルトンなどが有名です。オーケストラ曲でいえばドヴォルザーク。彼はヴィオラを弾いていたこともあり、ヴィオラが大活躍するように書いてくれているので、いつも張りきって弾いています。《弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」》 も、ヴィオラのための曲だと思っています。一番好きな作曲家もドヴォルザークなのですが、どんなに気分がすぐれない時も、彼の作品を演奏したり聴いていると自然と元気がわいてきます。

 

 

華恵

入団されてまだ間もないですが、どんな環境ですか?

 

中村

N響アカデミーのころから勉強させてもらっているのですが、音楽を学ぶのに最高の環境です。あまり他のオーケストラは知らないのですが、N響はどのパートも充実していて、特に低弦の湧き上がる響きは、中音域を担当するヴィオラにとって頼りになる存在です。N響伝統の音楽を大事にしながら、これからのN響の音楽を作っていくのが楽しみです。

 

華恵

中村さんの感じるN響の伝統の音というのはどういうものですか?

 

中村

厳格で一音一音が責任感のある音。規律正しいオーケストラの音だと思います。

 

華恵

それに対してこれからの音楽というのは?

 

中村

今までのN響は先輩達の言うことが絶対に正しいとされていましたが、今、先輩達はわれわれ若手の意見も取り入れてくれています。ですから、両方がうまく混ざったらいいなと思いますね。

 

華恵

主張するからには責任も伴いますね。

 

中村

そうですね。先輩達の音楽には敬意を感じているので、その上でよく考えてから自分の意見を言うようにしています。先輩方に受け入れてもらえるととてもうれしいです。

 

華恵

N響の中で今後こういう音を出していきたいという抱負を聞かせてください。

 

中村

先輩からもっと吸収して、N響の音楽を今後何十年と伝え、新しいものも徐々に作っていきたいです。「クラシックを聴くならN響を聴きに行きたい!」と思われるようなオーケストラであり続けたいです。これまでのお客様に満足していただくのはもちろん、新しいお客様に来てもらうためにもっとわれわれで話し合い、より良くしていきたいなと思っています。

 

華恵

音楽生活の中で大事にしているものは何ですか?

 

中村

毎年1回はふるさとの兵庫県三田市で演奏会を開きたいと、その企画をいつも考えています。せっかくN響に入団できたので、これからはここまで育ててくれた地元に恩返ししたいです。N響のメンバーでアンサンブルを組んで演奏を聴いてもらいたい。オーケストラの練習も大変ですが、こうした活動のための練習もとても勉強になりますし、楽しくて充実しています。

 

写真撮影 ― 藤本史昭

2014年10月取材 ※記事の内容およびプロフィールは取材当時のものです。

 

N響ライブラリー

華恵

聞き手

華恵

はなえ

1991年アメリカ生まれ。6歳から日本に住む。2003年、12歳で『小学生日記』を刊行し、エッセイストとしてデビュー。NHK BSプレミアム「世界遺産~一万年の叙事詩~」でのナビゲーター、連載エッセイなど、幅広く活躍中。2014年、東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。