NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

N響が贈る芳醇なひととき

クラシック・コンサートのマナー(1)

~演奏会に行くまで編~

 クラシックのコンサートというと、どうしても「敷居が高い」と思われがち。その理由としてよくあがるのが、「チケットの値段が高い」「音楽がよくわからない」がありますが、他に「マナーが難しそう」という意見を伺うことがよくあります。確かに、ライヴの映像などをみてみると、演奏中はしゃべることも体を動かすこともなく、曲が終わると一斉に拍手が起きる、など、知らない人からするとよくわからない「暗黙のマナー」があるように思えます。

 もちろん、演奏会の楽しみ方に決まりがあるわけではありません。音楽とは、「音を楽しむ」ものなのですから。けれども、クラシック独特のマナーやエチケットを、ほんの少しでいいので身につけておくと、演奏会をより深く楽しむことができるのもまた事実。そこで演奏会をより楽しむためのマナーの一部をご紹介しましょう。

 今回は、「演奏会に行くまで編」です。

 

 

情報をゲットするには

 コンサートの情報は、クラシック音楽専門の情報誌、音楽雑誌、新聞、インターネットのチケット・サイトなどでゲットすることができます。また、各オーケストラはホームページを開いていて、そこには詳細な演奏会の情報が掲載されています。N響のホームページでは、月ごとのカレンダーがあり、演奏会のある日にちをクリックすると、日時、場所、曲目、演奏者、曲目解説なども読めるようになっています。また、その月の公演に登場するアーティストの中から、特に注目の人をピックアップした記事が掲載されることもあり、その演奏会にかける意気込みや思いなどが伝わってくるので、ぜひ参考になさってください。

 また、コンサートに行くと貰えるチラシも重要な情報源です。チラシは、主催者が工夫を凝らして作っているので、「ここに注目して欲しい」ということが伝わってくる重要なツールです。

 

どの席を選べばいいのか

 チケットを購入する時に初めての方がいちばん悩むのが、広い劇場のいったいどの席を買えばいいのか、ということではないでしょうか。一般に「良い席」とは「音響が良い席」と考えられています。具体的にいうと、端よりは正面真ん中に近いところ。そして1階の場合は、あまり前すぎるよりは、真ん中ぐらいの列から天井が被っていないところまで。2階の場合はなるべく前が「良い席」ということになります。ただし、こうした席は例外なくお値段も高いし、またチケットも真っ先に売れてしまうので早めの購入が肝心です。オーケストラのコンサートの場合、2階のサイドの席もオススメです。ここは意外に、楽器の音がよくきこえてくるのです。ただしこの場合も、列は前の方がいいと思います。ただ最初のうちは、どんな席でもいいので、気に入ったコンサートになるべくたくさん通うのが、クラシック好きになる早道ではないでしょうか。

 

予習は必要か?

 クラシックのコンサートは「予習していくべき」ともいわれていますが、まっさらな状態でコンサートに行ってもまったく構わないと思います。ただ、例えば交響曲なら1曲30分から長いものだと1時間超の曲もあり、その場合、何の予備知識もなしに臨んでしまうと、思わず途中であくびが……ということにもなりかねません。そこで、さきほどご紹介した、各オーケストラのホームページなどに掲載された曲目解説を読んでおくのはいかがでしょう。また、少し余裕があれば、インターネットで楽曲をざっくり聴いておく、さらに余裕があればCDを買って聴いておけばコワイものはありません。

 

どんな服装で、誰と行くの?

 ガラ・コンサート(正装コンサート)でなければ、それほど格式張った服装でいく必要はありませんが、コンサートという、日常とは違う空間を楽しむためには、「よそゆき」の服装で行ってみてはいかがでしょうか。具体的には、男性ならジャケット着用、女性ならば結婚式の二次会よりは少しくだけたスタイル、というのが目安。もちろん、自分自身がいちばん素敵にみえるオシャレを楽しむのも大賛成です。最近では、和服の女性なども見かけるようになりましたが、季節感を盛り込んだ服装は見ている方もなんだか楽しい気分になります。

 コンサートに「誰と行くか」は、意外に難しい問題です。もちろん、ひとりで音楽の世界に浸るのは極上の喜び。ただ最近では、休憩時間にホワイエでお酒を飲めたりするのが普通になっていることもあり、一緒にグラスを傾ける相手が欲しくなるかもしれません。一方、あまり大勢でワイワイやるのは、クラシックのコンサートの場合はいささか場違いな場合も。気のおけない仲間数人と感想を言い合ったりしながら、あるいは恋人やパートナーとオシャレをして非日常空間を思い切り楽しむ。コンサートを「堅苦しいお勉強の場」ではなく、「楽しい社交の場」と考えるのもひとつのアイデアだと思います。

 

(室田尚子/音楽評論家)

 



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