NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

Music Tomorrow 2015

フランスの指揮者。パリ国立高等音楽院を卒業後、1988年にブザンソン国際指揮者コンクールに優勝。ブーレーズなどと共にアンサンブル・アンテルコンタンポランを指揮、以降、積極的に現代作品に取り組んでおり、レコーディングにはダルラピッコラ、デュティユー、デュサパンなどがある。一方でパリ管弦楽団、BBC交響楽団、ローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団などに定期的に客演し、現代作品だけでなく、18、19世紀の交響曲などでも高い評価を受けている。オペラではリヨン歌劇場、ジュネーヴ大劇場、ローマ歌劇場などで《ペレアスとメリザンド》《カルメル派修道女の対話》などを指揮。現在フランス国立ロワール管弦楽団音楽監督。N響とも度々共演し、今回で4度目となる。

 

 

前衛音楽と実験音楽、2つの潮流の現在進行形の出会い

今年のMusic Tomorrow 2015は、2人の作曲家の3つの作品を取り上げる。第63回尾高賞受賞作品は、世界を舞台に活躍している藤倉大(1977-)の《Rare Gravity》(2013)、そして委嘱初演作品は同じく藤倉の《インフィニット・ストリング》(2014)、そして海外の作品として、アメリカを代表するポスト・ミニマルの作曲家ジョン・アダムズ(1947-)の《サクソフォン協奏曲》(2013、日本初演)の3曲。藤倉作品への尾高賞授賞は2009年以来2度目であり、偶然にも同じ作曲家が委嘱初演作で重なるのは、Music Tomorrow はじまって以来のこと。

藤倉とアダムズによる今年のプログラムは、おおまかに見るなら、前衛音楽(ヨーロッパ)と実験音楽(アメリカ)の2つの潮流の現在進行形の出会いといえる。ダルムシュタット夏期新音楽講習会に集い、新しい音楽の方向性を探ろうとしたピエール・ブーレーズやルイージ・ノーノ、カールハインツ・シュトックハウゼンたちに代表される前衛音楽。かれらはヨーロッパの作曲家らしく、音響を合理的かつ理性的に統合しよう試みたが、これは20年以上イギリスに住んでいる藤倉の創作の基本的な路線にある。一方、ジョン・ケージに端を発するアメリカの実験音楽は、ロバート・アシュリー、アルヴィン・ルシエ、クリスティアン・ウォルフ、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒなど、技法や合理、理性よりもプロセスを重視した方法によって、ポップスを含む幅広い分野に影響を与えた。アダムズはライヒなどのミニマルな方法とロマン的な傾向を結びつけた、その最前線にいる作曲家の1人である。

藤倉の《Rare Gravity》は、母体のなかの羊水に守られた胎児の様子を音にした作品で、「希薄な重力」という曲名の通り、独自の浮遊感のなか、胎児の動きさえ想像させる生命の蠢(うごめ)きが感じられる。そしてN響、ニューヨーク・フィル(とアラン・ギルバート)と、アンサンブル・レゾナンツの共同委嘱による《インフィニット・ストリング》は、ハーモニクスやリズムのユニゾンなどによって弦の糸が収縮・拡散を繰り返していく繊細かつダイナミックな作品だ。

そしてアダムズの《サクソフォン協奏曲》。アメリカでサクソフォンといえばジャズの代名詞であるが、この曲はチャーリー・パーカーやスタン・ゲッツなどジャズ・プレーヤーの思い出に捧げられている(元来、ライヒやライリーなどのミニマルの作曲家はコルトレーンなどのジャズから恩恵を受けていた)。冒頭部分からパーカー風のフレーズ(《They can't take that away from me》冒頭)があらわれるが、音楽の表面よりもその背後にアメリカならではのサクソフォンの声がひしめいている。名手須川展也がどのような演奏を聴かせてくれるか、今から楽しみだ。

三橋圭介(音楽評論家)

作曲家プロフィール

作曲:藤倉 大

 

1977年、大阪生まれ。イギリスでジョージ・ベンジャミンなどに作曲を師事。すでに20年以上をイギリスで過ごし、日本の誇る世界を代表する作曲家の1人となった。これまでにイギリスのハダースフィールド国際音楽祭作曲家賞、ロイヤル・フィルハーモニック作曲賞、国際ウィーン作曲賞、ドイツのパウル・ヒンデミット賞、第19回芥川作曲賞など、数々の賞を受賞。作品はイギリス、日本だけでなく、ヨーロッパの主要な都市で演奏され、2015年3月には、シャンゼリゼ劇場・ローザンヌ歌劇場・リール歌劇場の共同制作で世界初演される初のオペラ《ソラリス》も控えている。楽譜はリコルディ・ミュンヘンより出版。尾高賞受賞は2009年の第57回に続き、今回2度目となる。

作曲:ジョン・アダムズ

 

1947年、アメリカ生まれ。ハーヴァード大学でレオン・カークナーやロジャー・セッションズに師事。1970年代半ば、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒなどのミニマル・ミュージックを聴き、大きな影響を受ける。初期の代表作《シェーカー・ループス》(1978/83)や《ハルモニーレーレ》(1985)は、ミニマルとロマン的なクライマックスを持つ折衷的な書法で注目を集め、ポスト・ミニマルを代表する作曲家となった。その後、歌劇でも《中国のニクソン》(1987)や《クリングホファーの死》(1991)、《ドクター・アトミック》(2005)など注目作品を書き続けている。アメリカ同時多発テロ事件の犠牲者への追悼として作曲された《On the Transmigration of Souls》(2002)では、ピューリッツァー賞を受賞している。

 
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チケット情報

S席 A席 B席
一般 3,500円 2,500円 1,500円
WEBチケットN響 特別料金 3,000円 2,000円 1,000円

座席表   

※会員先行発売の取り扱いは、N響ガイドおよびWEBチケットN響のみとなります

主催:NHK / NHK交響楽団

 

助成:芸術文化振興基金 / 公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団

 

協賛:株式会社東芝

 

※曲目・出演者・曲順等の変更の場合があります。あらかじめご了承ください。

※未就学児のご入場はお断りしています。

コンサート

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