NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

N響室内楽~踊るウィーン~

フルート:神田寛明

 

クラリネット:松本健司

 

ヴァイオリン:宇根京子

 

ヴァイオリン:青木 調

 

ヴァイオリン:篠崎史紀

 

ヴァイオリン:白井 篤

 

ヴィオラ:御法川雄矢

 

ヴィオラ:村松 龍

 

チェロ:宮坂拡志

 

チェロ*:市 寛也

 

コントラバス:西山真二

 

ハーモニウム:山口綾規

 

ピアノ:山田武彦

 

名手たちの親密な対話で、N響アンサンブルの魅力を

 オーケストラ好きからすると、室内楽は少々地味で、どこか渋いイメージがあるかも知れないがどうだろう、演奏家ひとりひとりの表情や親密な対話が聴ける喜びは素晴らしく大きい。

 アンサンブルの自由と親密な響きには、なにより信頼と理解が前提となる。NHK交響楽団きっての名手たちが室内楽を奏でるとなれば、そこには長い時間をともに過ごし、さまざまな個性の指揮者を招き、多種多様な作品を演奏してきた同志たちの篤き絆が、より直截に顕れてくるはずだ。尊敬と愛情を抱く名手どうしなら、謳歌される音楽の自由も大きく広がる。それぞれの楽器の魅力を通じて、個々の人間性が親しく感じられるのは、定期公演などで触れる表情とは違う、仲間たちの語らいのなかだからこそだ。プロフェッショナルとしての厳しさはそのままに、そこには張りつめた表情だけでない、親密な空気も自然と通うだろう。小ホールだから、対話の息づかいや表情もより身近に聴きとれる。

 さて、室内楽と一口に言ってもその幅は広いが、そもそもは楽しむためのもの、言ってみれば生活の彩りとして歓迎された音楽である。王侯や貴族が、自らの食卓を賑わせたり、貴賓をもてなしたりするのに、音楽ほど人の心を和ませるものはなかった。貴族的な趣味を反映し、居城の空間や儀式を典雅な響きで満たすのは、腕利きの楽士たちの仕事だ。

 新興の市民階級が演奏をたしなむようになると、室内楽は家族や友人の親しい対話として愛された。とくにウィーンでは、家庭音楽(ハウスムジーク)の伝統が豊穣で、飲食店でのカフェムジークなども盛んに花を咲かせた。ハイドン、モーツァルトの後を受けて、予約演奏会の時代になり、ベートーヴェンが弦楽四重奏曲をはじめ巨大な傑作群を打ち立てると、作曲家の創造表現のエッセンスを凝縮した深刻な形式ともみなされたが、そのいっぽうで多様な楽器の名手が集う、多彩な響きの対話としての魅力も失われることはなかった。

 今回のプログラムも華やかだ。演奏家が自主的に弾きたい作品、聴いてほしい曲を集めたものだというが、ウィーンの音楽的魅力をぎゅっと詰めこんだ鮮やかな選曲がなされている。

 ヨハン・シュトラウスII世の名作を新ウィーン楽派の三人が編曲したワルツは、シェーンベルクが設立した「私的演奏協会」がオーストリア通貨の下落の煽りで活動を中止する半年前、財政再建を図って開催された1921年5月27日(奇しくも!)の特別演奏会で披露されたもの。ハーモニウムをベルク、チェロをウェーベルン、(今回はなしだが)指揮をシェーンベルクが務めたことを想像しても愉快だ。ハーモニウムを含むドヴォルザークの《バガテル》は作曲家がオーストリアの国家奨学金を得て、ブラームスらと交流した時代の作品である。コンーサートの前半に演奏されるのはモーツァルトで、フルートとクラリネットの室内楽作品では最高の果実に数えられる。《クラリネット五重奏曲》はウィーンで書かれた晩年のかけがえない名作、《フルート四重奏曲》もおそらく同地での作曲である。

 こうして、弦と木管の名手たち、そして鍵盤のゲストに彩られ、18世紀終盤から20世紀にかけてのウィーン音楽の夢が、いきいきと現代に蘇ることになる。名手たちをさらに身近に感じることで、オーケストラの定期公演の聴きかたにも今後いっそうの楽しみが加わるに違いない。

青澤隆明(音楽評論家)

 

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主催:NHK交響楽団

 

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