NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

Music Tomorrow 2013

1969年鹿児島生まれ。日本の現代音楽では欠かせない指揮者の一人である。2000年、東京国際音楽コンクール指揮部門優勝、2001年ブザンソン国際指揮者コンクールの優勝で一躍脚光を浴びる。以降、国内の主要オーケストラに定期的に招かれる一方、ローマ聖チェチーリア管弦楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団など国際舞台でも活躍。2006年に読売日本交響楽団の初代正指揮者、2011年には広島ウインドオーケストラの音楽監督に就任。霧島国際音楽祭、サイトウ・キネン・フェスティバル松本をはじめ、数多くの音楽祭にも参加。近年はオペラの分野でも新国立劇場、日生劇場、二期会などで活躍。2007年より上野学園大学音楽学部教授。

 

※6:30pmよりプレトークがございます。

光の多彩な次元が織りなす音の世界

魔法の手が紡ぐ「音の万華鏡」

 「Music Tomorrow」は、前年に日本で初演されたオーケストラ作品に贈られる尾高賞、日本人作曲家への委嘱作品、海外の現代の作品の3つを軸に据えたコンサート。2013年は、尾高賞に、昨年、紫綬褒章も受賞している野平一郎のハープ協奏曲《彼方、そして傍らに》[2012]、委嘱作品に酒井健治の《ホワイトアウト》、海外の作品にA.ペルトの《シンドネ》[2005]とP.H.ノルドグレンの《左手のためのピアノ協奏曲~小泉八雲の「怪談」による「死体にまたがった男」》[2004]の4作品。一言で表すなら光(色彩)の多彩な次元が堪能できるプログラムで、2人の名手(ソリスト)と指揮者が織りなす音の万華鏡が聴けるだろう。

 日本の2人の作曲家に共通するのは、音響現象を音の波動として捉え、倍音を解析・合成するスペクトル楽派。野平をスペクトル楽派と呼ぶことはできないが、ポスト・セリエルの作曲家として、T.ミュライユとの出会いや、彼のアンサンブル・イティネレールでのピアニストとしての経験は、けっして小さなものではない。《彼方、そして傍らに》でも電子音響音楽の経験を含め、純粋な音響的なアイディアとして色彩の構造化が見られる。一方、電子音楽を専門的に学んだ酒井は、昨年の《死の舞踏》を筆頭に、電子音響を解析し、オーケストラに応用しているスペクトル楽派を代表する若手だ。新作の《ホワイトアウト》がどのような音の乱反射を持った作品になるか、今から楽しみだ。

 海外の作品では、ペルトも精神的な意味でスペクトルの作曲家と言える。「私の音楽は多様な色彩を含む白い光に例えることができる。その色彩はプリズムを通したときにのみ現れる。ひとつのプリズムは色を分散し、出現させる。これこそが聴く人の精神に他ならない」。《シンドネ》は、キリストの遺骸を包んだ痕がついていると言われる「トリノの聖骸布」から霊感を受けて作曲された。ヌメロロジー(数秘学)的な音の遊戯が生み出す響きのなかに神秘主義的な光を出現させるだろう。

 そして日本で作曲を学んだノルドグレンが、左手のピアニスト舘野 泉のために書いた協奏曲は、小泉八雲の小説『死体にまたがった男』に基づく作品。男に離縁された女は悲しみと怒りのあまりに死んでしまうが、復讐の念が男を待ち続ける。陰陽師の助言によって、死んだ女の屍にまたがり、女の長い髪をつかませその怨念を解くという内容。調弦の異なるヴァイオリンの悲痛な叫びは憎悪のなかに捨てきれない深い愛を内包し、明け方の光の暖かさに溶けていく。

三橋圭介(音楽評論家)

作曲家プロフィール

作曲:酒井健治

 

1977年大阪生まれ。国際的な活躍を行なっている若手作曲家の一人。京都市立芸術大学卒業後、2002年よりパリ国立高等音楽院でM.ストロッパ、L. ナオン、M.レヴィナスなどに師事、作曲、電子音楽、楽曲分析を学ぶ。その後、ジュネーヴ音楽院でM.ジャレルにも師事。2007年より2009年までIRCAMの研究員。ジョルジュ・エネスコ国際コンクール作曲部門グランプリ(2007年)、武満徹作曲賞第1位(2009年)、ルツェルン・アート・メンター・ファンデーション賞(2010年)、エリーザベト王妃国際コンクール作曲部門グランプリ(2012年)などを受賞。2012年秋よりマドリッドのカザ・ドゥ・ヴェラスケスにレジデント・コンポーザーとして滞在。スペクトル楽派の流れを汲んだ電子音響の解析を用いた作品で知られる。

作曲:野平一郎

 

1953年生まれ。日本を代表する国際的な作曲家、ピアニスト。東京藝術大学大学院を経て1978年、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。この間、間宮芳生、B.ジョラス、S.ニッグ、H.ピュイ・ロジェに師事。卒業後は、ダルムシュタットなどの講習会でG.リゲティ、B.ファーニホー、F.ドナトーニに学び、またアンサンブル・イティネレールやIRCAMで電子音響音楽やコンピュータ音楽を作曲。国内外からの委嘱作品は80曲以上に及ぶ。第35回サントリー音楽賞(2004年)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005年)、紫綬褒章(2012年)など数々の賞を受賞。尾高賞は第44回以来、2度目の受賞となる。現在東京藝術大学教授。静岡音楽館AOI 芸術監督。

作曲:ペール・ヘンリク・ノルドグレン

 

ノルドグレン(1944 - 2008)は、フィンランドを代表する作曲家の1人。1958年より作曲をはじめ、ヘルシンキ大学で音楽学を学び、1965年から1969年までJ.コッコネンにプライヴェートに作曲を学ぶ。1970年から1973年まで東京藝術大学で長谷川良夫の下で作曲を学ぶ傍ら、日本の伝統音楽に親しむ。フィンランドに帰国後は、母国の伝統音楽に目覚め、作品に取り入れる。室内楽からオーケストラ曲、オペラなど数多く作曲しており、作風は調性から伝統音楽、12音技法やクラスター技法などを総合している。今回演奏される《左手のためのピアノ協奏曲》は、舘野泉の委嘱により日本の伝統文化との出会いから生まれた作品。

作曲:アルヴォ・ペルト

 

1935年エストニア生まれ。タリン音楽院で作曲を学び、1958年から1967年までエストニア・ラジオに勤める。新古典的な作風に始まり、その後、12音技法、セリエルや偶然性、コラージュなどを用いた作品を発表。1968年に前衛的な手法と中世、バロックなどの音楽をコラージュした《クレド》を発表。約8年にわたる沈黙の後、1976年のピアノ曲《アリーナのために》によって、ラテン語で小さな鈴を意味する「ティンティナブリ様式」と呼ばれる作曲原理を導く。以降、《鏡の中の鏡》(1978)、《スターバト・マーテル》(1985)など、古くて新しい三和音的な音楽は、現代音楽にパラダイムシフトをもたらし、クラシック音楽ファンにも多く受け入れられている。

 

チケット情報

S席 A席 自由席
一般 5,000円 3,000円 1,000円
ユースチケット 2,500円 1,500円 -
グループチケット 4,000円 - -
残席情報 終了 終了 終了

座席表   

※グループチケットは、まとめて2席以上購入の方が対象(1枚あたりの料金)
※定期会員は、一般S・A各500円の割引となります
※会員先行販売、会員割引、ユースチケット、グループチケットのお取り扱いはN響ガイドのみ

主催:NHK / NHK交響楽団

 

助成:公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団

 

協賛:株式会社東芝

 

※曲目・出演者・曲順等の変更の場合があります。あらかじめご了承ください。

※未就学児のご入場はお断りしています。

コンサート

このコンサートの放送予定

 

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