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定期公演 2023-2024シーズンBプログラム
第2012回 定期公演 Bプログラム

サントリーホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年5月Bプログラム 聴きどころ

本日演奏されるのは、いずれも作曲家が比較的若い頃に書いた作品である。ヨハネス・ブラームス(1833~1897)にとって最初の協奏曲となる《ピアノ協奏曲第1番》は、その独特さゆえ評価されるまでに年月を要した。カール・ニルセン(1865~1931)の《交響曲第1番》はブラームスの影響が濃いと言われているが(ちなみにニルセンは《第1番》が初演された1894年にウィーンのブラームスを訪ねている)、《交響曲第2番》はそこから抜け出そうとする作品である。彼らの野心作に耳を傾けたい。

(小林ひかり)

PROGRAM曲目

ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15

1853年9月、20歳のブラームスはデュッセルドルフのローベルト・シューマン(1810~1856)一家を訪れる。そこでブラームスが披露した作品から彼の才能を見いだしたシューマンは、自身が創刊した音楽雑誌『新音楽時報』で久しぶりに筆を執り、「新しい道」と題してブラームスを世に紹介し、彼の輝く未来を予言した。ブラームスの作品出版の後押しもした。そんなシューマンは、以前から精神疾患に悩まされており、翌年2月に自殺未遂、その後療養のためボンにある施設に移って約2年半後に亡くなるが、その間、ブラームスは恩人の家族を支えた。そうしたなかでシューマンの妻でピアニストのクララ(1819~1896)との親交を深めていく。
《ピアノ協奏曲第1番》はこの時期に書き始められた。といっても、初めから協奏曲が念頭にあったのではない。1854年の春、ブラームスは《2台のピアノのためのソナタ》を書き上げたが、やがて2台ピアノでは満足できなくなり、交響曲に改作しようと構想を練るものの行き詰まり、最終的に協奏曲として完成させた。その過程では、クララや友人でヴァイオリニストのヨアヒムに助言を仰いだ。とりわけヨアヒムとの間の膨大な手紙のやり取りは重要で、彼からの返事を受けて、ブラームスは1862年の出版まで修正を続けた。苦心惨憺(くしんさんたん)の末に出来上がった《ピアノ協奏曲第1番》は長大で、ピアノのみを際立たせるのでなく、ピアノとオーケストラが対等な関係に置かれることから、ピアノ付き交響曲と呼ばれることもある。
第1楽章 ソナタ形式。冒頭には速度の指示がなく、「荘厳に(マエストーソ)」とだけ書かれている。重く響く持続低音の上で、トリルを伴う第1主題が奏される。ヘ長調の第2主題はオーケストラ伴奏なしのピアノ独奏によって提示される。ブラームスの懊悩(おうのう)や激情、憧憬を思わせるような楽章である。
第2楽章 3部形式。草稿ではラテン語の祈禱(きとう)文が記されていたこの楽章には、宗教的な気高さがある。ブラームスは作曲中にクララへの手紙で、このアダージョ楽章を「あなたの優しい肖像画」と表現した。
第3楽章 ロンド。活気あふれる主題で始まり、中間部ではバロック風のフガートが現れる。第1楽章にはなかったカデンツァは、主題の再現のあとと結尾で登場し、力強く曲が結ばれる。

(小林ひかり)

演奏時間:約44分
作曲年代:1854~1858年
初演:1859年1月22日、ヨーゼフ・ヨアヒム指揮、作曲者自身によるピアノ独奏、ハノーファーの宮廷楽団、ハノーファーの宮廷劇場にて

ニルセン/交響曲 第2番 ロ短調 作品16「4つの気質」

この交響曲のタイトルの「4つの気質」とは、古代ギリシャの医師ヒポクラテスらによる四体液説に基づいて分類された人間の気質のことで、どう猛な黄胆汁質(第1楽章)、無気力な粘液質(第2楽章)、憂鬱な黒胆汁質(第3楽章)、陽気で楽観的な多血質(第4楽章)にわけられる。これらの楽章を形容する語が示すのは、ニルセンが各楽章でおもに表現しようとした気分や感情であって、彼はこの交響曲は標題音楽でないとしている。形式的にも伝統的な交響曲の構造に基づく。
ニルセンにインスピレーションを与えたのは、デンマークのシェラン島の村の旅館で妻や友人たちと飲みながら見た、4つの気質を描いた滑稽な絵画であった。作曲から約30年後の1931年、亡くなる直前のニルセンはストックホルムでの公演に際して《交響曲第2番》についての執筆を依頼された。彼はここでの記述が標題(プログラム)として捉えられるべきでなく、彼の個人的な事であるということを断った上で、作曲当時を振り返り、長い文を書いた。それによると、例えば件の絵のなかの黄胆汁質は、男が馬にまたがり、剣を振り回し、髪は乱れ、目は転がり落ちそうで、顔は怒りと憎しみで歪(ゆが)んでいたという、その誇張された表現にニルセンは思わず吹き出してしまったそうだが、それがある日、その絵に音楽的な核心やアイデアが含まれることに気づいたという。
第1楽章 ソナタ形式。冒頭でいきなり強烈な第1主題が提示される。これに対して第2主題は最初静かに表情豊かに歌われる。この第2主題が、激しく動く音型や鋭いリズムによって遮られたのち、今度はフォルティッシモで大らかに力強く奏される。このように時折優しい表情を見せながら、気分の変化が激しい強靭(きょうじん)な音楽が繰り広げられていく。
第2楽章 第1楽章とは正反対に、「エネルギーや感情などからできる限り離した」とニルセンは述べている。ト長調のゆったりとしたワルツのリズムで動きの少ない主題だが、第1楽章の第2主題や第3楽章の主題にもある3度上行のモティーフから成っており、楽章間の関連性が見られる。
第3楽章 3部形式。重く憂鬱な主題に続いて、ため息のようなオーボエのモティーフが現れる。これが徐々に劇的に展開し、嘆きと痛みのクライマックスに到達する。短い経過ののち、ささやき合うような穏やかな中間部へと移行する。
第4楽章 遊び心ある弾むような主題を持つ終楽章は、第1楽章の主調の平行調であるニ長調で始まる。ニルセンがこの楽章で表現しようとしたのは、「全世界が自分のもので、何もしなくても幸福が舞い込んでくると信じて、考えもせず突き進む人の性格」。「しかし、たった一度、彼らしくなく熟考する」(アダージョ・モルト)と、最後は堂々とイ長調の行進曲で締めくくる。少年時代、貧しいながらもフューン島でのびのびと育ったニルセンの人柄を反映するような、前向きでユーモアあふれる楽章である。

(小林ひかり)

演奏時間:約35分
作曲年代:1901年~1902年11月22日
初演:1902年12月1日、作曲者自身による指揮、コペンハーゲン、デンマーク・コンサート協会の演奏会にて

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2023年8月には首席指揮者としての任期が3年間延長され、2028年8月までとなった。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。

ルドルフ・ブフビンダーさんの画像 ピアノルドルフ・ブフビンダー

1946年、チェコのボヘミア地方に生まれたルドルフ・ブフビンダーは、ウィーンの音楽伝統を汲(く)みつつ、大らかな自由を謳歌(おうか)するピアニスト。「継続するクレッシェンド」と自身のキャリアを称していたのは12年ほど前のこと。佳き伝統を担う王道を往く自信が深まるとともに、肩肘張ったアグレッシヴさからは精神的に解放されたのか、その演奏に伸びやかな感情表現や即興的な清新さも息づくようになった。生真面目な学究と鍛錬の先に、ライヴならではの感興と高揚のなか、確信をもって語られる音楽は、生来とみられる楽観的な情熱を帯び、歳月を重ねてなおも若々しさを謳歌している。
レパートリーの中心はバッハ、ウィーン古典派とドイツ・ロマン派だが、現代作品への目配りもみせる。3度もの全集録音をまとめたベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲については、各地での全曲演奏を60回以上も重ね、今年3月にも東京・春・音楽祭で展開。実に10年ぶりに臨むN響定期公演は、前回と同じくルイージの指揮。アーノンクールやメータとの録音も名高いブフビンダーの十八番(おはこ)、ブラームスの《ピアノ協奏曲第1番》で渾身(こんしん)の熱演が期待される。

[青澤隆明/音楽評論家]

TICKETチケット

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Bプログラム

第2012回 定期公演
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年2月28日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年3月3日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※この公演のお取り扱いは、WEBチケットN響およびN響ガイドのみです。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]

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お申し込み

主催:NHK / NHK交響楽団

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