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定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第2010回 定期公演 Aプログラム

NHKホール
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※約2時間の公演となります(休憩20分あり)。
※やむを得ない理由で出演者や曲目等が変更となる場合や、公演が中止となる場合がございます。公演中止の場合をのぞき、チケット代金の払い戻しはいたしません。

ABOUT THIS CONCERT特徴

2024年5月Aプログラム 聴きどころ

「ローマ」という都市が背負う歴史と伝統の重みは計りしれない。西ヨーロッパのアイデンティティの源には古代ローマがあり、キリスト教カトリックの総本山でもある。そのローマと関わりの深い20世紀と21世紀のイタリア人作曲家2名の作品によるイタリア・プログラム。イタリア人指揮者ファビオ・ルイージが奏でる、遙(はる)かなるローマへの想いを乗せた音空間は、古代と未来が融合するかのごとく新感覚を与えてくれるはずだ。

(安川智子)

PROGRAM曲目

パンフィリ/戦いに生きて[日本初演]

リッカルド・パンフィリ(1979〜)は、イタリア中部の都市テルニに生まれた。2006年にローマの聖チェチーリア国際作曲コンクールで1等賞を獲得して以来、数々の賞を受賞している。今回日本初演となる管弦楽曲《戦いに生きて》は、2017年にフィレンツェ五月音楽祭管弦楽団の委嘱で作曲され、同年12月31日に、ファビオ・ルイージの指揮で世界初演された。2022年には改訂版がトリノで、やはりルイージの指揮によって演奏されている。前者はベートーヴェンの《交響曲第9番》、後者はブルックナーの《交響曲第4番》と組み合わせたプログラムで、パンフィリ自身はこの曲を、ベートーヴェンとヴェルディを結ぶ「戦い」をイメージして作曲している。すなわち習慣やマンネリを打ち破り、新たな言語を開拓し、境界を押し広げる芸術家の内なる闘志である。パンフィリはそれを「音楽の精神」と同等のものととらえている。
曲の冒頭、弦楽器の弱音によるかすかな響きに雫(しずく)を落とすようなハープの音が耳を惹(ひ)きつける。曲が進むにつれて時折襲う激しい音の波や、ティンパニの厳しい刻みが「戦い」をイメージさせるものの、この曲の基調となる要素はむしろ、限られた楽器の中から厳選された音の集積によって私たちを包み込む響きの美しさであり、その和声的な美から滲(にじ)み出る秘めたる意志である。最後に到達する悲壮的な美(あるいは音楽の精神)は、そこから次にどのような曲が立ち現れるかによって、プリズムのように印象を変えるだろう。

(安川智子)

演奏時間:約16分
作曲年代:2017年(2022年改訂)
初演:2017年12月31日、フィレンツェ歌劇場、ファビオ・ルイージ指揮、フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団[改訂版]2022年2月10日、ファビオ・ルイージ指揮、RAI国立交響楽団

レスピーギ/交響詩「ローマの松」

ボローニャ生まれのオットリーノ・レスピーギ(1879~1936)は、1913年にローマの聖チェチーリア音楽院の作曲教授の職を得てローマに移住し、以後この地を活動の拠点とした。「ローマ三部作」と呼ばれる交響詩群、《ローマの噴水》(1916)、《ローマの松》(1924)、《ローマの祭り》(1928)は、ローマ移住後に、それぞれ間を置いて作曲されたものである。《ローマの松》は、ローマの4つの歴史的名所に立つ松を主題とする4部分からなり、ひと続きに演奏される。何世紀も生き続ける松の木を前に、古代ローマへと想像の羽は広がり、第2、第4曲では、荘厳なる古代世界が音楽によって表現される。
〈ボルゲーゼ荘の松〉では、17世紀初頭に建造されたボルゲーゼ荘の庭園で子供たちが遊んでいる様子を、チェレスタ、ハープ、ピアノを加えた輝かしい響きで描く。〈カタコンブ付近の松〉は、古代ローマで迫害された初期キリスト教徒の地下墓所であるカタコンブから聞こえてくる祈りの歌を、グレゴリオ聖歌に由来する旋律を用いて表現する。ピアノの分散和音に続くクラリネットの旋律で幕を開ける〈ジャニコロの松〉では、ローマの街を一望できるジャニコロの丘に立つ松が月明かりに浮かび上がり、幻想的な響きの中から、最後に、ナイチンゲールのさえずり(今回は鳥笛で演奏)が聞こえてくる。〈アッピア街道の松〉は夜明けのアッピア街道に立つ松である。低い弱音の刻みの中から、イングリッシュ・ホルンの異国的旋律が漂い、いつしか古代ローマの世界に入り込む。街道を行進する古代ローマ軍が次第に近づき、通過していく様が、オルガンやバンダとして指定された金管楽器の堂々とした響きによって蘇(よみがえ)る。

(安川智子)

演奏時間:約18分
作曲年代:1923~1924年
初演:1924年12月14日、ローマ、アウグステオ劇場、ベルナルディーノ・モリナーリ指揮

レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」

20世紀初頭のローマは、伝統と前衛の両極端が同居する複雑な都市であった。パリからは、作曲コンクールであるローマ賞の大賞受賞者がメディチ荘へと学びにやってくる。1885年にローマに到着したドビュッシーにはその伝統が息苦しかったが、ローマの若き作曲家たちはヨーロッパの前衛を積極的に吸収していった。1915年にピアノ教授として聖チェチーリア音楽院に赴任し、レスピーギの同僚となったアルフレード・カゼッラは、パリ音楽院のフォーレのクラスでラヴェルとともに学んでおり、レスピーギに大いに刺激を与えた。
1916年に作曲された《ローマの噴水》は、夜明けから夕暮れまで、刻々と変化する日の光を反映した水の幻想的美しさを表している点で、ドビュッシーの《海》と同系統にあるが、それだけではない。ローマの噴水に施された神々の彫刻が水と一体となって想像の世界を広げていく。イタリアの古楽復興にも関心をもつレスピーギは、古い書法と前衛の融合した響きによって、ローマの4つの噴水を表現した。全体は4部分からなり、ひと続きに演奏される。
〈夜明けのジュリアの谷の噴水〉は、夜明けの冷たく湿った霧のなかを羊の群れが通り過ぎる牧歌的情景。〈朝のトリトンの噴水〉はホルンのファンファーレに始まり、この噴水を飾るトリトンの像が、朝日のなか、水の精ナイアデスと水しぶきを浴びて踊り出すという設定。〈昼のトレヴィの噴水〉ではネプチューンの戦車が通過する勇ましさが描かれ、最後に〈たそがれのメディチ荘の噴水〉は、夕暮れ時の穏やかな自然の音と、噴水や鐘の音が溶け合う感覚的な美を映し出し、心地よい余韻を残す。

(安川智子)

演奏時間:約18分
作曲年代:1916年
初演:1917年3月11日、ローマ、アウグステオ劇場、アントニオ・グァルニエリ指揮

レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」

ローマ3部作の最後を飾る《ローマの祭り》は、前2作と同じく4部分からなる単一楽章の形式をとり、ローマの特徴的な4つの祭りを、時代を自在に行き来して、映画のごとく劇的に描写した作品である。キリスト教(カトリック)とかかわりの深い「祭り」の音楽には、レスピーギの長年にわたる聖歌研究に加え、1920年代に大成功を収めた地であるアメリカの趣味が反映されている。1925年末から翌年初めにかけて、レスピーギは初めてのアメリカ・ツアーを行い、各地で熱烈な歓迎を受けた。ミラノの指揮者トスカニーニはこの時にニューヨーク交響楽団と《ローマの松》アメリカ初演を成功させ、1928年にはニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団へと改称した同楽団の常任指揮者に就任する。こうして舞台は整い、1929年、本作はトスカニーニの指揮により、ニューヨークで世界初演された。
〈チルチェンセス〉は古代ローマの皇帝ネロの時代、猛獣とキリスト教徒ら人間が見世物として決闘した残酷な祭りを描写する。古代ローマ時代の金管楽器、ブッキーナが指定されている(今回はトランペットで代用)。〈五十年祭〉は50年ごとに行われるカトリックの聖年祭で、巡礼者たちがローマを眼前にしたときの感慨を、賛歌の旋律も援用して表現する。〈十月祭〉は、秋のぶどうの収穫を祝う祭りである。前半のホルンの活躍、後半のマンドリンによるセレナーデなどさまざまな楽器の独奏が華を添える。〈主顕祭〉は主顕祭前夜の祭りの賑(にぎ)やかさを、考えうる限りの管弦楽法を尽くして描ききる。

(安川智子)

演奏時間:約23分
作曲年代:1928年
初演:1929年2月21日ニューヨーク、カーネギー・ホール、アルトゥーロ・トスカニーニ指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団

※当初発表の曲順から変更となりました。

ARTISTS出演者

ファビオ・ルイージさんの画像 指揮ファビオ・ルイージ

1959年、イタリア・ジェノヴァ出身。デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務める。N響とは2001年に初共演し、2022年9月首席指揮者に就任。就任記念公演でヴェルディ《レクイエム》を、2023年12月のN響第2000回定期公演ではマーラー《一千人の交響曲》を指揮し、この2つの記念碑的公演で共に大きな成功を収めた。またベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、R. シュトラウスなどのドイツ・オーストリアの作品や、フランクやサン・サーンスといったフランス語圏の作品に取り組み、その歌心と情熱に溢(あふ)れた指揮は、多くの聴衆の心を摑(つか)んでいる。2023年8月には首席指揮者としての任期が3年間延長され、2028年8月までとなった。
これまでにチューリヒ歌劇場音楽総監督、メトロポリタン歌劇場首席指揮者、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR(中部ドイツ放送)交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者などを歴任。このほか、イタリアのマルティナ・フランカで行われるヴァッレ・ディートリア音楽祭音楽監督も務めている。また、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラに定期的に客演し、世界の主要オペラハウスにも登場している。録音には、ヴェルディ、ベッリーニ、シューマン、ベルリオーズ、ラフマニノフ、リムスキー・コルサコフ、マルタン、そしてオーストリア人作曲家フランツ・シュミットなどがある。また、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは数々のR. シュトラウスの交響詩を収録しているほか、ブルックナー《交響曲第9番》の解釈は高く評価されている。メトロポリタン歌劇場とのワーグナー《ジークフリート》《神々のたそがれ》のレコーディングではグラミー賞を受賞した。

TICKETチケット

定期公演 2023-2024シーズン
Aプログラム

第2010回 定期公演
Aプログラム

NHKホール
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1回券発売開始日

定期会員先行発売日:2024年2月28日(水)10:00am
定期会員について

一般発売日:2024年3月3日(日)10:00am

チケット購入

料金

S席 A席 B席 C席 D席 E席
一般 9,800円 8,400円 6,700円 5,400円 4,400円 2,800円
ユースチケット 4,500円 4,000円 3,300円 2,500円 1,800円 1,400円

※価格は税込です。
※定期会員の方は一般料金の10%割引となります。また、先行発売をご利用いただけます(取り扱いはWEBチケットN響・N響ガイドのみ)。
※車いす席についてはN響ガイドへお問い合わせください。
N響ガイドでのお申し込みは、公演日の1営業日前までとなります。
※券種により1回券のご用意ができない場合があります。
※当日券販売についてはこちらをご覧ください。
※未就学児のご入場はお断りしています。
※開場前に屋内でお待ちいただくスペースはございません。ご了承ください。

ユースチケット

25歳以下の方へのお得なチケットです。
(要登録)

定期会員券
発売開始日

年間会員券
2023年7月17日(月・祝)10:00am
[定期会員先行発売日: 2023年7月9日(日)10:00am]


シーズン会員券(SPRING)
2024年2月16日(金)10:00am
[定期会員先行発売日: 2024年2月7日(水)10:00am]

お問い合わせ・
お申し込み

BROADCAST放送予定

NHK-FMNHK-FMベスト オブ クラシック
「第2010回 定期公演 Aプログラム」

2024年5月16日(木) 7:30PM~ 9:10PM

曲目: パンフィリ/戦いに生きて[日本初演]
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」
※当初発表の曲順から変更となりました。

指揮:ファビオ・ルイージ

収録:2024年5月11日 NHKホール

主催:NHK / NHK交響楽団

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