

山根明季子 / 水玉コレクション No.06 [N響委嘱作品/世界初演]
藤家溪子 / ギター協奏曲 第2番「恋すてふ」 作品60 (1999)
サリネン / 室内楽 第8番 作品94「木々はみな緑」(2009)[日本初演]*
ダルバヴィ / まなざしの根源(2007)[日本初演]



パスカル・ロフェ、山下和仁、ピーター・ウィスペルウェイ
主催
NHK、NHK交響楽団
助成
(公財)三菱UFJ信託芸術文化財団
協賛
みずほ証券株式会社、株式会社東芝

“Music Tomorrow”とは文字通り「明日の音楽」、つまり近未来を創造する音楽を聴いてもらうシリーズだ。長い時を刻んできた古典的名作ではなく、できたてほやほやの作品と尾高賞受賞作品を軸に組み立てられるこの演奏会は、日本を代表する名門オーケストラ、N響が長年、取り組んできた画期的な企画である(今年度は尾高賞の該当作品がなかった。今年のMTは、過去の受賞作から藤家溪子の曲を再演する)。まさに最高水準の演奏で紹介されてこそ、新しい音楽の価値も伝わろうというもの。演奏と創作が互いに刺激し合い、火花を散らし、ある瞬間にふっと高みに至る、そんなプロセスがここにはある。
あなたが現代音楽の演奏会をまったく聴いたことがないというなら、記念すべき初体験は“Music Tomorrow 2010”に行こう。たとえば、若手で活きのいい新作を書いている山根明季子。どこかノスタルジックな気分をかきたてる「水玉」という視覚的モティーフを、音の世界で表現することにこだわってきた作曲家だ。水玉といえば草間彌生の一貫したテーマでもあるが、「斬新でユニーク」という意味でなら、山根の音楽も草間ワールドに引けを取らない。
藤家溪子の《ギター協奏曲第2番「恋すてふ」》は、百人一首に出てくる壬生忠見の和歌にちなんだやわらかい響きの音楽。山下和仁というクラシック・ギターの名手を念頭に作曲されたのだが、恋はじめを歌った句に重ね合わせたのは山下への想いだったのだろう。ちなみに藤家と山下は人生のパートナー。山下が弾くと、曲も一層、深みを増すはずだ。
あなたが現代音楽のファンなら、山根の新作はもちろん、サリネンとダルバヴィの近作も聴いておくべき。サリネンの《室内楽第8番》はチェロと弦楽オーケストラのための作品。今年3月6日に世界初演されたばかりで、初演時にチェロを弾いたピーター・ウィスペルウェイが登場する。近年、来日公演で人気を博しているウィスペルウェイは古楽器もモダン楽器も自在に操り、幅広い表現力をもつチェリスト。歌心にあふれるサリネンの音楽を、彼のチェロで聴くのは楽しみだ。
指揮者パスカル・ロフェが推薦するダルバヴィの《まなざしの根源》はオリヴィエ・メシアンへのオマージュ。《みどりごキリストにそそぐ20のまなざし》の和音を引用しながら、ドビュッシーからメシアンへと継承されてきたフランスならではの音感覚を生かした作品である。来年50歳になるダルバヴィは、初期のエッジの効いたスタイルから作風が大きく変化している。識別可能なテーマで書くことを目指した今回の作品をどう聴くか、あなたの価値観が問われるところだ。
白石美雪[音楽評論家・武蔵野美術大学教授]

2010年7月29日(木)更新 |
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東京オペラシティ チケットセンター 03-5353-9999

2010年3月29日(月) 10:00AM
(東京オペラシティ チケットセンターは、3月30日[火]発売開始)
曲目・曲順・出演者等の変更の場合があります。あらかじめご了承ください。







2010年7月29日(木)更新






