NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

活動報告

2013年10月2日

ヨーロッパ公演2013 ツアー・レポート(1)
リンツ~グラフェネッグ音楽祭

 

 この夏、N響は2005年以来8年ぶりとなるヨーロッパ公演に出かけました。オーストリア、ドイツ、イタリアの4都市で4公演を果たした模様を、ミニ・インタビューやこぼれ話も交えてお届けします。

 

 

【8月19日】

 成田空港を発ち、ミュンヘン空港に到着。バスでオーストリアのリンツへ向かったN響の一行。リンツに宿泊して練習を重ね、公演に臨むことになっています。

 練習会場の「ブルックナーハウス」は、奇しくも30年前の1983年にサヴァリッシュの指揮でN響が公演を行ったことのある縁あるホールでした。

 

練習会場のブルックナーハウス

練習会場のブルックナーハウス

リンツはブルックナーゆかりの街でもある

リンツはブルックナーゆかりの街でもある

 

 

【8月23日】

 リハーサル3日目の今日は朝10時より、ザルツブルク音楽祭の曲目のリハーサルが行われました。最後のリハーサルは、細川俊夫《ソプラノとオーケストラのための「嘆き」》。初めてソプラノのアンナ・プロハスカさんを迎えての、歌パートと合わせる練習です。この作品はザルツブルク音楽祭より細川氏に委嘱されたもの。細川氏が真剣な表情で見守る中、シャルル・デュトワが厳しい表情で指示を出してそれにオーケストラが応える、緊張感みなぎる練習光景でした。細川氏に楽員が歩み寄り、楽譜を指差しながら質問をする場面もありました。プロハスカさんも熱心に尋ねていました。

 細川氏にこの日の感想を語っていただきました。

「今日は声とオーケストラのバランスを重点的に聴きました。とてもよく仕上がってきていると思います。何よりもデュトワさんが楽譜を深く読み解いてくださり、綿密で的確な指示を出してくださっていたことに感銘を受けました。いい演奏家というのは、作曲家が机の上で想像して書いたものよりもはるかに素晴らしい音楽を実現してくれます。今日は自分が思い描いたものよりもいい響きがたくさんしました。最高の理解者、最高の歌い手、最高のオーケストラで自分の音楽が実現されることに大きな喜びを感じます」。

 細川氏の大きな期待に応えなければならないザルツブルク音楽祭への出演は、あと2日後に迫りました。

 

《ソプラノとオーケストラのための「嘆き」》練習風景

《ソプラノとオーケストラのための「嘆き」》練習風景

 

ドナウ川沿いに広がるリンツの街の夜景

ドナウ川沿いに広がるリンツの街の夜景

オーストリア料理店にて夕食会

オーストリア料理店にて夕食会

 

 

【8月24日】

 リンツから2時間近くかけて「グラフェネッグ音楽祭」会場へとバス4台で向かいました。「グラフェネッグ音楽祭」は毎夏開かれている音楽祭で、今年は8月16日から9月8日までの開催。19世紀の優美な姿のグラフェネッグ城がたたずみ、芝生の緑が鮮やかな英国調の庭園が広がっています。そんなヨーロッパらしい情景とは対照的なモダン建築の野外ホールがコンサート会場となる予定でしたが、この日は「湿気があり、風が強い」との理由から屋内ホールでの開催に変更となりました。

 開場時刻が近づくと、チロル調のドレスやジャケットに身を包んでお洒落をした老若男女が続々と集まりだし、美しい景色とワインで開演前のひとときを楽しんでいました。

 

グラフェネッグ城

グラフェネッグ城

開演前のひととき

開演前のひととき

 

 

 開演するや、プログラム最初のウェーバー《歌劇「オイリアンテ」序曲》の軽快な響きに、聴衆は一気に引き込まれた様子でした。ラロ《スペイン交響曲》のヴァディム・レーピンの華やかなソロには割れんばかりの大喝采。休憩後のベルリオーズ《幻想交響曲》は、デュトワの流麗なタクトからさまざまな色彩が引き出され、鮮烈なフィナーレに「ブラヴォー!」の声がわきました。アンコールに応えてビゼー《「アルルの女」組曲 第2番》から〈ファランドール〉が色鮮やかに演奏されると、会場はスタンディング・オベーションでの盛大な拍手に包まれ、長く鳴りやみませんでした。

 終演後の楽屋には主催者からの白ワインがずらり。初日のコンサートを終え、涼風そよぐ芝生の上で楽員達がほっとした表情で、乾杯を繰り返していました。

 

終演後に白ワインで乾杯

終演後に白ワインで乾杯

 

(取材:「フィルハーモニー」編集部)

 

 

「グラフェネッグ音楽祭」の模様はこちら

 

 

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