NHK交響楽団
NHK Symphony Orchestra, Tokyo

 

活動報告

2017年5月8日

NHK交響楽団 ヨーロッパ公演2017 レポート

 

創立90周年事業の一環として、2013年以来4年ぶりとなるヨーロッパ公演が、2017年2月から3月にかけて6か国7都市を巡って行われました。首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィと初めて行った今回の海外公演は、各地で熱狂的な拍手で迎えられ、ヨーロッパを代表する名門ホールの数々で、N響は世界トップクラスのオーケストラとしての確かな存在感を示しました。

 

スケジュール・公演地

2017年2月28日(火)ベルリン・フィルハーモニー(ドイツ)

2017年3月1日(水)フィルハーモニー・ルクセンブルク(ルクセンブルク)

2017年3月2日(木)フィルハーモニー・ドゥ・パリ(フランス)

2017年3月4日(土)コンセルトヘボウ(オランダ|アムステルダム)

2017年3月6日(月)ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(イギリス|ロンドン)

2017年3月7日(火)ウィーン・コンツェルトハウス(オーストリア)
2016年3月8日(水)ケルン・フィルハーモニー(ドイツ)

 

プログラム

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン(ロンドン公演を除く)

 

Aプログラム

モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216

マーラー/交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」

 

A’プログラム

武満 徹/弦楽のためのレクイエム

マーラー/交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」

 

Bプログラム

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47

ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番 ホ短調 作品93

 

ベルリン公演(ドイツ)

2017年2月28日(火)8:00pm

ベルリン・フィルハーモニー〈Aプロ〉

 

最初の公演地は、ドイツの首都ベルリン。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が本拠地としている世界的ホール、フィルハーモニーでのコンサートです。同会場でのリハーサルは、巨匠ダニエル・バレンボイムや、コンサートマスターの樫本大進らベルリン・フィルのメンバー達が見守る中で行われ、準備は万端。公演前夜にはパーヴォ・ヤルヴィがオーケストラ・メンバーを招いて食事会を開催し、全員でツアーの成功を誓い合いました。

28日の本番は、ジャニーヌ・ヤンセンの独奏と小編成のオーケストラによるモーツァルト《ヴァイオリン協奏曲第3番》で開幕。ヤンセンの生命力にあふれるしなやかなソロと、パーヴォ率いるN響メンバーによる、あたかも室内楽のように親密な演奏が会場を魅了し、一気に会場の空気が温まりました。客席の拍手に応えて、ヤンセンはアンコールとしてバッハ《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番─第3曲「サラバンド」》を披露しました。

後半は一転して総勢110名のメンバーが舞台に上がりマーラー《交響曲第6番》を演奏。80分以上にわたるこの劇的な作品の演奏を聴衆はかたずを飲んで見守り、最後の音のあと、しばらくの静寂を経て大きな喝かつ采さいが指揮者とオーケストラに寄せられました。

 

ベルリン・フィルハーモニーの外観

ベルリン・フィルハーモニーの外観

ベルリン公演前日のパーヴォ主催夕食会に飛び入り参加した指揮者のバレンボイム(左)

ベルリン公演前日のパーヴォ主催夕食会に飛び入り参加した指揮者のバレンボイム(左)

ベルリン・フィルハーモニーでマーラー《交響曲第6番》のリハーサルを行うパーヴォ&N響 ⓒ橋本貴雄

ベルリン・フィルハーモニーでマーラー《交響曲第6番》のリハーサルを行う
パーヴォ&N響 ⓒ橋本貴雄

 

 

ルクセンブルク公演(ルクセンブルク)

2017年3月1日(水)8:00pm

フィルハーモニー・ルクセンブルク〈Bプロ〉

 

前夜のベルリンでの興奮さめやらぬ中、N響メンバーは翌朝、ドイツの西隣に位置し、中世から継承される美しい街並みを誇る国、ルクセンブルクに移動しました。公演会場はハープの形をした外観が美しいフィルハーモニー・ルクセンブルク。同ホールでヤンセンが「アーティスト・イン・レジデンス」を務めていることもあり、このコンサートへの注目度も高く、チケットは早い段階で完売。ヤンセンはシベリウスの名作《ヴァイオリン協奏曲》を披露し、その多彩で表現豊かな演奏で、客席の期待に見事に応えました。後半は、作曲者自身やソビエトの独裁者スターリンを描いたともいわれる、ショスタコーヴィチ《交響曲第10番》を演奏。迫力あふれる終楽章が終わると、万雷の拍手とブラヴォーの声に会場は包まれました。それに応え、シベリウスの哀愁と激情を兼ね備えた名品《悲しいワルツ》をアンコールで演奏すると、会場からはさらに大きな拍手が沸き上がりました。

 

アンコールでシベリウス《悲しいワルツ》を演奏

アンコールでシベリウス《悲しいワルツ》を演奏


ルクセンブルク公演の会場、フィルハーモニー・ルクセンブルク

ルクセンブルク公演の会場、フィルハーモニー・ルクセンブルク

 

 

パリ公演(フランス)

2017年3月2日(木)8:30pm

フィルハーモニー・ドゥ・パリ〈Bプロ〉

 

一行は翌日列車でパリ入り。フランスを代表するオーケストラ、パリ管弦楽団が本拠地とする、2015年にオープンしたばかりの新しいコンサートホール、フィルハーモニー・ドゥ・パリで公演を行いました。パーヴォは2016年8月までパリ管弦楽団の音楽監督を務め、同ホールのこけら落としの演奏会では同楽団とベートーヴェン《交響曲第9番「合唱つき」》を指揮するなど、フランスではおなじみの存在。そんなパーヴォが選んだN響とはどんなオーケストラなのか地元の方々は興味津々だったようで、ここでもチケットはいち早く完売し、開演前にはキャンセル待ちの列ができるほどでした。演奏会は大成功のうちに終わり、熱狂的な拍手がパーヴォ、ヤンセン、そしてN響に贈られました。

 

パリ公演の会場、フィルハーモニー・ドゥ・パリ

パリ公演の会場、フィルハーモニー・ドゥ・パリ

フィルハーモニー・ドゥ・パリの舞台 ⓒNemoKen

フィルハーモニー・ドゥ・パリの舞台 ⓒNemoKen

 

アムステルダム公演(オランダ)

2017年3月4日(土)8:15pm

コンセルトヘボウ〈Bプロ〉

 

次の公演はヤンセンの母国、オランダでの公演。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の本拠地であり、美しい響きで名高い、首都アムステルダムのコンセルトヘボウでのコンサートです。N響がコンセルトヘボウで演奏するのは2004年以来、13年ぶりとなります。オランダが誇る世界的ヴァイオリニストが登場するとあって、チケットはもちろん完売です。

シベリウスの後だけでなく、ショスタコーヴィチの演奏後にもスタンディング・オベーションで拍手が贈られ、パーヴォ&N響の演奏にもお客様が満足されている様子が伝わってきました。

 

ジャニーヌ・ヤンセンが独奏を務めたシベリウス《ヴァイオリン協奏曲》ⓒSimon van Boxtel

ジャニーヌ・ヤンセンが独奏を務めたシベリウス《ヴァイオリン協奏曲》
ⓒSimon van Boxtel

 

コンセルトヘボウの外観

コンセルトヘボウの外観

シベリウス《ヴァイオリン協奏曲》の演奏終了後、タッチを交わすパーヴォとヤンセン
 ⓒSimon van Boxtel

シベリウス《ヴァイオリン協奏曲》の演奏終了後、タッチを交わすパーヴォとヤンセン ⓒSimon van Boxtel

 

ロンドン公演(イギリス)

2017年3月6日(月)7:30pm

ロイヤル・フェスティヴァル・ホール〈A’プロ〉

 

N響メンバーはオランダから空路イギリスへ。ロンドン公演は今回のツアーで唯一協奏曲の演奏がなく、前半では日本を代表する作曲家、武満徹の《弦楽のためのレクイエム》が採り上げられるなど、日本色が色濃く出た演奏会となりました。

N響ではこのロンドン公演を日英文化交流の好機ととらえ、早くから各種企画を推進。1月22日には英国在住の作曲家、藤倉大氏と武満徹の愛娘(まなむすめ)、武満眞樹氏が参加して“An Ode to Toru Takemitsu”と題されたトークイベントが開かれ、150名以上のファンが来場(主催:国際交流基金)。公演前日には、ロンドン日本大使館の鶴岡公二大使の主催による、日英の関係者を招いてのN響メンバーによる弦楽四重奏のコンサートも催されました。さらに公演当日の会場リハーサルは、ロンドン日本人学校の生徒と父兄や、イギリスを代表する音楽学校のひとつ、英国王立音楽アカデミーの学生たちが見守る中行われるなど、各地を回ってホールで演奏会を行うだけ、というこれまでの日本のオーケストラの海外ツアーとは一線を画す試みが実現しました。

公演は名誉音楽監督シャルル・デュトワも見守る中、大成功のうちに終了。終演後、現地在住の日本人の方から「ここイギリスで、日本のオーケストラが世界レベルの演奏を繰り広げてくれたことを、誇りに思います」と声をかけられたのが印象的でした。

 

ロンドン日本大使館でのN響メンバーによる弦楽四重奏のコンサート(3月5日)

ロンドン日本大使館でのN響メンバーによる弦楽四重奏のコンサート(3月5日)

トークイベント“An Ode to Toru Takemitsu”(1月22日、ロンドン、キングスプレイス)。武満眞樹(左から2番目)と藤倉大(右端)も参加

トークイベント“An Ode to Toru Takemitsu”(1月22日、ロンドン、キングスプレイス)。武満眞樹(左から2番目)と藤倉大(右端)も参加

武満徹《弦楽のためのレクイエム》ⓒBelinda Lawley

武満徹《弦楽のためのレクイエム》ⓒBelinda Lawley

 

 

ウィーン公演(オーストリア)

2017年3月7日(火)7:30pm

ウィーン・コンツェルトハウス〈Bプロ〉

 

ロンドン公演の翌日、一行はドーバー海峡を飛行機で飛び越え、さらに彼方(かなた)の中欧オーストリアに移動。「音楽の都」と称される同国の首都、ウィーンを代表するコンサートホールのひとつ、コンツェルトハウスでの演奏会に臨みました。現地や世界各地から集った一流のアーティストたちが、連日ハイレベルな演奏会を繰り広げ、耳の肥えた聴衆が多いことで知られるウィーンですが、ベルリンからの一連のコンサートの評判が高かったこともあり、チケットは公演直前に完売。ヤンセンとパーヴォそしてN響が、そのもてる力をウィーンでも存分に発揮し、終演後にはここでも客席でスタンディング・オベーションがおきました。

 

ショスタコーヴィチ《交響曲第10番》ⓒwww.lukasbeck.com

ショスタコーヴィチ《交響曲第10番》ⓒwww.lukasbeck.com

 

コンツェルトハウスの外観

コンツェルトハウスの外観

ウィーン公演は完売となり、満場の聴衆がN響公演を鑑賞した ⓒwww.lukasbeck.com

ウィーン公演は完売となり、満場の聴衆がN響公演を鑑賞した
ⓒwww.lukasbeck.com

 

ケルン公演(ドイツ)

2016年3月8日(水)8:00pm

ケルン・フィルハーモニー〈Aプロ〉

 

いよいよ一行は最後の公演地である、ドイツの中西部の主要都市ケルンに到着。有名なケルン大聖堂のすぐ近くに位置する会場のケルン・フィルハーモニーは、舞台を円で取り囲むような客席が特徴的で、オーケストラとお客様の一体感が強く感じられるホールです。

ここでもヤンセンは見事なモーツァルト《ヴァイオリン協奏曲第3番》を披露し、負けじとパーヴォ&N響もマーラー《交響曲第6番》を熱演。終演後の舞台裏では本場のケルシュ・ビールが振る舞われ、各地で全力の演奏を繰り広げてきたメンバーたちが、グラスを交わしながらお互いの健闘をたたえあいました。

 

マーラー《交響曲第6番》ⓒNemoKen

マーラー《交響曲第6番》ⓒNemoKen

 

ケルン・フィルハーモニーの舞台と客席。客席が舞台を円形で取り囲む

ケルン・フィルハーモニーの舞台と客席。客席が舞台を円形で取り囲む

終演後はケルン名物、ケルシュ・ビールで乾杯!

終演後はケルン名物、ケルシュ・ビールで乾杯!

 

 

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